2017年の飛距離から247.41Yと10ヤード落ちる
川岸史果と言えば父・川岸良兼譲りの豪快な飛距離を武器に、昨年は初優勝を挙げるなど賞金約8200万円を稼ぎ出し、賞金ランク7位と大ブレイク。今季もっとも活躍が期待される選手の一人だったはず。
ところが今季の賞金ランクは日本女子オープン終了時点で52位と低迷している。その理由は5月の終わり頃、エースドライバーが破損したこと。
「5月の終わりにヘッドが割れてから、メーカーの担当者に調整してもらってたくさんテストしていますがなかなか思うような結果が出せなくて。飛距離が出る分、曲がると隣のホールまで行ってしまい、余計な1打を払うことになったりしていました」(川岸)
プロ支給品も市販品も基本的に同じものだが、ツアー会場では選手個々に合わせてごくごく微妙な調整を施す。一般アマチュアなら気づかないようなことだが、鋭敏な感性を持つプロはこれを認識。まったく同じモデルであっても、その微妙な違いを感じとってパフォーマンスに大きく影響してしまうのは、川岸に限らずママあることだ。
とはいえ、スタッツを見ても2017年257.45Yから今季は247.41Yと10ヤード落ちているというから深刻だ。川岸のキャディを務めるプロゴルファーの母・川岸麻子は言う。
「割れたあと同じモデルのドライバーを使いましたが、フェアウェイの左はじからフェードで打とうとしても、真っすぐに抜けてしまったり、曲がりすぎてしまったりして上手くいきませんでした。そのため、6月の試合ではすべてのティショットで3番ウッドを使いました。それだと予選は通過するけど上位に行けない。7月からは、ラウンドが終わってからドライバーだけでも100球、200球と打っています」
そんな川岸が手にとったのが、ミズノのプロトタイプドライバーだ。練習場で見る限り打っているボールは極上。シーズン中に新しいドライバーをテストしなければならないやや特殊な状況であることもあり実戦投入するかどうかは微妙な状況のようだが、川岸本人は悪くない感触を得ているようだ。
「フェース面が平らで、どこに当たっても曲がりにくく、構えやすいです。打感も少し弾く感じでいいですね。直進性が高いので、コントロールするというよりフェアウェイ真ん中を狙って打つようにマネジメントも調整しながら、ドライバーにこちらも合わせていくように考えています」(川岸)
この日のテストでは、フェース面に感圧式のショットマーカーを貼って5球を打ち、そのすべてがフェースセンター付近に集まっていた。川岸的にはまださらに精度を高めたい様子だったが、このクラブチェンジが復調のきっかけになる可能性はありそう。
さて、そのクラブだがまだ公表されている情報は一切ない。形状は同社の人気ドライバー「MPタイプ2」にちょっと似た形状。ソールには溝があり、ネックには調整機能が付けられている。ソールのフェース寄りには「プロトタイプ3」とプリントされ、後方には「5」という数字が入っている。この数字が意味するところも不明だ。
写真撮影も、ソール面はオッケーだが、クラウン面はNGとのことだった。この時期にテストをしているということはおそらく2019年発売のモデルになることが予想される。
川岸によると、どこで打っても曲がりにくく直進性が高いのが特徴だというこのドライバー。他メーカーのプロモデルと同様に、昨今のトレンドの低スピンで直進性が高いモデルになっているようだ。
この新しい武器を川岸が復調のきっかけとできるか。そしてそもそもこのドライバーの正体はなんなのか。ダブルで注目だ。