プロテストを20アンダーでトップ通過!
今年の7月24〜27日に開催されたLPGA(日本女子プロゴルフ協会)最終プロテストで、20アンダーという驚異的なスコアを叩き出し、トップ合格を果たしたエイミー・コガ、23歳。
176センチの日本人離れしたモデル体型に、ちょっと片言の日本語。そんなエイミーは、日本生まれ・ハワイ育ちの日本人と韓国系アメリカ人のハーフで、ハワイ大学にいまも在学中の大学生プロでもある。大学は通信制で、ツアーを転戦する今も授業を受け、コミュニケーションを学んでいるという。
エイミーがゴルフと出会ったのは8歳の頃。世界各地を転々としていた幼少期に、趣味でゴルフをやっていた父の影響で始めたのだという。
「生まれは日本で、その後ブラジルの方に2年くらい(住んだ)かな。その後日本帰ってきてすぐにマウイ島に引っ越してそこでゴルフ始めて、祖父母がいるニューヨークに2年くらい居て、10歳から2年前くらいまでオアフ島にいた。3年くらいマウイ島にもいた。一番長いのはハワイです」(エイミー)
ハワイと言えばPGAツアーの「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」が行われるカパルアリゾートや「ソニー・オープン・イン・ハワイ」が開催されるワイアラエCCなど、数多くのゴルフ場があることでも有名だ。エイミーは、どのコースで腕を磨いたのか?
「アラワイGCとかパールCCとかによく行った。(パールCCには)デビッド・イシイさんがいてそこで練習して。あとカポレイGCやコオリナGCに行くことも多かった。今は家が隣にあるので、ずっとホノルルCCで練習しています」(エイミー)
得意なクラブは? という質問には「ウェッジ!」と即答。
「ウェッジが得意なはず!(笑) 一番好きです。80ヤード以内は全部それで打つ。楽しい」(エイミー)
176センチからの豪快なショットに目を奪われるが、意外や得意技は小技だという。「ニューヨークに住んでいた時の練習が活きている」と言うのはエイミーの父・古賀裕規男さん。
「当時住んでいた家のバックヤードが50ヤードで、毎日1000球くらい練習していました。エイミーのゴルフはウェッジから始まっているんです」(父)
「小さい時は飛ばなかったからウェッジで寄せないとパーが取れないし、取らないと勝てないから」(エイミー)
ウェッジから積み上げたゴルフだからこそ、実は緻密なゴルフを展開できるのがエイミーの強みだ。
幼少期から世界各地のジュニア大会に出場し、プロになりたいと思っていたという。現在は日本を主戦場に定め、大阪を拠点に全国各地を転戦している。日本での目標を聞くと「もちろん優勝することだけど」とした上でこう続ける。
「まずはシードを獲って、賞金ランキング70位に入ってセカンドに行かないこと(※10月26日開幕の三菱電機レディス終了時点で賞金ランク70位以内に入ると、ツアー出場をかけた二次予選を免除される)。無理でもないゴールだし、頑張らなくちゃいけないから頑張る」(エイミー)
現在の賞金ランクは75位だから、今後数試合での上積みが必須となるが、プロテストで20アンダーを叩き出した爆発力があれば、可能性は低くない。
実はエイミーが日本女子ツアーに初めて挑戦したのは2016年のこと。しかし当時は思うような結果を残すことが出来なかった。
「2年前に初めてステップ(アップツアーに出場する権利)をもらったけどボロボロで、QTも落ちて。去年は(日本の試合に)全然出られなくて韓国ツアーに行って(いた)」(エイミー)
一昨年に通用しなかったことから、昨年は猛練習を積んだというエイミー。それがトップ合格という結果につながり、今年レギュラーツアー19試合中13試合で予選通過という安定感にもつながっている(10月3日現在)。しかも彼女は今がまさに“伸び盛り”なのだと父はいう。
「やっぱり環境が選手を育てますね。レギュラーで出させていただくと放っておいても上手くなりますよね。技術がないと上には行けないというところまで追い込まれていくから、嫌でも上手くなります(笑)。ゴルフをジュニアの時に固めていないので、伸びしろしかないです。たまたまジュニアの時に結果が出ていただけで、完成させようだとか、固めようとはしていなかったので」(父)
実際に過去の試合の録画を自分で見ると「こんなに変わったんだ」というくらいスウィングが変わっているのだと言う。そして、レギュラーツアーを戦いながらも、エイミーは着実にトップ選手たちのゴルフを吸収する姿勢を見せている。
「毎日勉強です。試合に出てすごい選手をたくさん見て、アン・ソンジュさんとか、シン・ジエさんとか上田桃子さんとか」(エイミー)
LPGAツアーで戦う選手たちの「曲げない、真っ直ぐ打つのが当たり前」という環境に促され、今まさに急成長中の23歳。南国育ちゆえか、元来持つ性格ゆえか、終始笑顔で取材に応じてくれたエイミー・コガ。また一人、ツアーにヒロイン候補が現れた。
撮影/矢田部裕 取材大会/スタンレーレディス