いまだに基礎練習を欠かさないローズ
初めてPGAツアーの年間王者に輝いたジャスティン・ローズは現在38歳で南アフリカ出身(5歳でイギリスに移住)ということもあり、日本ではダスティン・ジョンソンやジョーダン・スピースのような高い知名度はありません。
リオデジャネイロ五輪で優勝した選手と言えば「あぁ、あの年齢不詳なナイスガイ風の選手か」となんとなく思い出す人もいるでしょう。そのプレースタイルもどこかに特徴的で強みがあるというよりは「弱みが無い」というのが強みです。
多様な特性のコースがある欧州ツアーで揉まれたこともあり、ショットの精度には定評があります。しかし2017-2018年シーズンのスタッツを見てみると、得意のショット以外で飛びぬけているものはありません。ただし、すべての項目で平均より上に位置しており、いかに高次元で安定している選手かということが分かります。
「自分はピークにいると思う。それは賢明な努力がもたらすものだ」と語っているように、ローズの高い技術力は努力に裏打ちされたものです。
ツアーの練習場では今でもしばしば両腕にボールを挟み、腕と体の一体感を身に付ける練習を行っています。パッティンググリーンでもルーティンのように方向性を確認する練習を繰り返し行っています。
ローズを支えてきた長年のチーム
こうしたローズの地道な取り組みを支えているのが、長年タッグを組むコーチとキャディです。ローズはもともとデビッド・レッドベターに師事しており、腕と体の一体感を重要視することで曲がらないスウィングを目指しました。
その後、現在のコーチであるショーン・フォーリーとはより安定感のある正確性の高いスウィングを追求し続けています。
パッティングではパッティングコーチのデビッド・オーに師事し、その後フィル・ケニオンというパッティングコーチを付けています。ロリー・マキロイやヘンリク・ステンソンも指導するケニオンのティーチングはロジカルさが特徴で、その教えはローズの無駄のない機械のようなパッティングストロークに表れています。
ローズはケニオンに与えられた課題を克服するために、いつも試合会場の練習グリーンで練習機器を使いひたすら地味な練習を繰り返しています。その結果、プレッシャーに負けない再現性の高いパッティングストロークを身に付けました。
そしてキャディは10年以上コンビを組んでいるマーク・フルチャー。マスターズ勝者のファジー・ゼラーのキャディーも務めたという百戦錬磨のキャディです。かつて「ローズの強さは、常に準備を怠らない事」と教えてくれたことがありますが、その準備を入念に行うことができるのは、この名キャディーのサポートがあってこそです。
30代後半になり、円熟味を増してくるローズのゴルフ。彼の盤石なチームと真摯なスタイルから、新シーズンも活躍の期待が膨らみます。