「スウィング? 今も昔も変えていないよ」
ワトソンと言えば、米ツアー39勝、メジャー8勝のレジェンドプレーヤー。記憶に新しいところでは2009年の全英オープン、71ホール目で首位に立ち、最終ホールをボギーとしプレーオフの末2位となったシーンだろう。あわや59歳、史上最年長優勝かとゴルフ界を騒然とさせた。
そんなワトソンが来日し、マスターカード・ジャパン選手権の開催記者会見に臨んだ。
まず、開催コースである成田GCの攻略法について聞かれたワトソンの答えを紹介しよう。
「同じコースで繰り返しプレーをするとコースの性質が見えてくる。特に打ち上げ、打ち下ろしのショットにおいてはプロでも見極めが難しい。ゴルフでもっとも重要なことのひとつは正しい距離を打つということです。打ち上げ、打ち下ろしのショットでどれくらいの力加減で打つのか、何番で打つのかということが慣れてくることでよりピンに近く打つことができるようになります」(ワトソン)
成田GCは昨年PGAツアー・チャンピオンズの「JAL選手権」が開催されたコースで、その試合にはワトソンももちろん出場している。初めてのコースではないからこそ、より高い精度での距離感が求められるということのようだ。
「ゴルフでもっとも重要なことのひとつは、正しい距離を打つということ」
当たり前すぎるほど当たり前のコメントだが、レジェンドの口から発せられると、なるほど! と深く納得させられるから不思議だ。
編集部では、「クラブやボールの進化によってゴルフというゲームが大きく変わってきたと思いますが、それに合わせてスウィングは変えてきたのでしょうか?」と質問してみた。
「いやスウィングは変えていないよ。今はエピックにディアマナの60グラムのSシャフト。これが気に入って使っているよ」(ワトソン)
なんと、スチールシャフトにパーシモンの時代から「スウィングは変えてない」とサラリと断言。さらに、「ゴルフで活躍できた秘訣は何ですか?」とド直球な質問にはこう回答。
「チッピングとパッティングだよ。私はそれが一番だと思っている、だからこそ活躍できたんだ」(ワトソン)
ゴルフで大事なのはショートゲーム。分かっているつもりだけど、これまた全英オープンだけでも5回制した生きる伝説から面と向かってそう言われると、なにやら黙って頭(こうべ)を垂れたい気持ちになる。
昨年の「JAL選手権」ではスコットランドの名手コリン・モンゴメリーが優勝。メジャー優勝者や世界で活躍した選手を間近に見られる「マスターカード・ジャパン選手権」では、ワトソンを含めたチャンピオンたちの円熟した技を見に行く価値が大いにありそうだ。