タフなセッティングを制したシャウフェレのショット力
7261ヤードと距離は長くないものの、多くの池やハザードが絡む難コース、シャーシャン・ゴルフクラブで行われたWGC・HSBCチャンピオンズはザンダー・シャウフェレのWGC初制覇で幕を閉じました。
トニー・フィナウが初日から試合を引っ張ってきましたが、最終日の17番ホール195ヤード・パー3でシャウフェレのバーディーで13アンダーのフィナウに追いつき、プレーオフ1ホール目の18番ホールで勝負が決しました。
フィナウは初日から首位を走り精神的に少しナーバスになっていたように見えましたが、その隙を見逃さなかったシャウフェレが最後にスルスルと迫ってラストスパートを仕掛けるゲーム展開となりました。
プレーオフで使用された18番ホール・570ヤード・パー5は距離は短いものの、ティショット落下付近のフェアウェイは絞られ、グリーン手前と右サイドに池があり非常に緊張感のあるホールです。ティグラウンドから見るとベストポジションのフェアウェイ右サイドが低くなっており、選手からは落下地点が見えないだけではなく手前と右の池が気になり狙いが絞りにくいティーショットとなります。
心理的には左サイドに打ちたいのですが、ちょうど左にはバンカーがあり2オンを阻みます。プレーオフでフィナウが72ホール目、プレーオフと左サイドラフとのバンカーに入れましたが、シャウフェレは2ホールともティショットをフェードで果敢に責めフェアウェイキープをしました。
シャウフェレが緊張下で安定したショットを打てるのは、下半身などの大きな筋肉を積極的に使ったスウィングということも大きいと思います。シャウフェレのコーチを務める父親のステファン・M・シャウフェレはもともとは陸上の十種競技の選手をしていたという異色のティーチングキャリアの持ち主です。ステファンは陸上をやっていたこともあり地面反力の使い方に関する知識があり、練習場では下半身をステップさせる練習なども取り入れてスウィング調整をしていました。
今回惜しくもタイトルを逃したフィナウですが、恵まれた体格から繰り出すコンパクトスウィングで飛距離を出しながらラインを出すことができます。ライダーカップメンバーにも選出され自信がついていますので今後が楽しみな存在です。
松山のスウィングは今まで見た中で一番不安定だった
2016年のWGC・HSBCチャンピオンズ覇者の松山ですが、「ショットもパットも上手くいかなかった」と大会期間中話していたように、今まで見た中でもっとも不安定なスウィングをしていました。
松山が最後に勝った2017年のWGCブリヂストン招待の時と比べてバックスウィングやトップポジションに変化が見られました。プレーオフシリーズで手ごたえを感じた部分に取り組んでいるようですが、練習場ではトップの収まりどころが毎回微妙にズレ、時々捕まりの悪い球が出ていました。
今まで練習でそのような不安定なスウィングの状態をあまり見たことがなかったので、本人が言うようにショットは修正が必要な段階と言えるでしょう。去年の同時期の日本凱旋と比べて不安定さは否めませんが、調整をして三井住友VISA太平洋マスターズとダンロップフェニックスで日本のファンに雄姿を見せてほしいと思います。