コースに合わせて練習法をカスタマイズしていく
練習日を取材していてつくづく思うことがあります。それは、トーナメントに出場するプロたちは、とにかくたくさん練習するということ。昔、不動裕理さんが「サラリーマンの人は1日8時間働くんだから、プロゴルファーが8時間練習するのは当たり前」という趣旨の発言をしていましたが、やはり熾烈な競争を勝ち抜くには練習量が必要だということでしょう。
ただ、プロによって、練習グリーンで長く時間を過ごす人、ショット練習に重点を置く人など、練習内容はまちまちです。我々プロは、アマチュアゴルファーのみなさんに「ドライバーばかりではなく、グリーンを狙うショットの練習や、ショートゲームも練習しましょう」とよく言いますが、ツアープロたちはどこに重点を置いて練習しているのでしょうか。プロコーチの井上透さんに聞いてみました。
「基本的には、その週ベストのスコアが出せるように練習します。バンカーが多ければバンカーショットの練習を多めにしようとか、グリーンが大きければロングパットの練習をしておこうといったように、コースに合わせて練習します」(井上)
トーナメントに出てくるプロであれば、みんな上手いのは当たり前。だからこそ、その週のコースを攻略するためのイメージ作りや、必要なテクニックを磨いているのだというわけです。その上で、クラブの使用頻度や調子を加味して練習メニューを組み立てるのだそうです。
「1ラウンドでドライバーは14回。パターは30回使うとします。でも、だからと言って、その重要度は72分の14ではないし、72分の30でもないんです。選手は肌感覚で使用頻度と調子の良し悪しを考慮して練習内容を組み立てています」(井上)
つまり、その週のコースに合わせた練習、使用頻度に応じた練習、調子を整えるための練習の三者を、バランスよく配分し、肌感覚で練習メニューを決めている。それが上手くハマった選手が、その週上位に入る……ということのようです。
井上コーチによれば、アマチュアゴルファーとツアープロの練習の大きな違いは「打ち方の修正」を練習場で行うか、否かということ。アマチュアゴルファーはどうしても普段でも、コースでも、打ち方の修正に気がいってしまいますが、ツアープロの場合はその心配はなく、あくまでそのコースで1打でもいいスコアを出すために特化した練習をしているのだそうです。
この考えは、アマチュアゴルファーにも有効です。ぜひやっていただきたいのは、朝イチの練習場では、その日プレーするパー3のヤーデージを確認し、ティアップして使うであろう番手を打つ練習。これはツアープロもルーティンにしている人が多い練習法ですが、アマチュアにも有効です。
ツアープロは、想定されるすべての状況を練習日を通じて“潰す”作業をしています。アマチュアにはそれほどの練習量は求めるべくもありませんが、2、3発でも普段やらないバンカーショットやロングパットの練習をしておくと、本番のいいリハーサルになると思いますよ。