昨年の地元宮崎で開催された「アクサレディス」に主催者推薦で出場し初優勝を手にし、今季はシード選手として参戦していた山内日菜子選手。なかなか思うような成績が出さずに苦しいシーズンを送っていました。
転機となったのは「ゴルフ5レディス」でクラブセッティングをガラッと変えたこと。7番アイアン以下を中空構造のテーラーメイド「P770」に入れ替え、ウッド類のシャフトも軽く硬いモデルにチェンジすると、竹田麗央選手と優勝を争い2位で終えていました。
それからはクラブが振れるようになり、飛距離も方向性も安定し、上り調子でQTに備えていたと言います。「伊藤園レディス」では初日を首位から5打差の3アンダー16位タイで終えると2日目に66と追い上げ、首位から1打差の2位タイへと順位を上げました。
最終日のバックナインでは、11アンダーの首位に6人が並ぶ大混戦から3つのバーディを奪って抜け出すと難易度1位の17番パー3でチップインバーディを奪い、メルセデスランク73位からの今季初優勝を手にしました。
山内選手のフィニッシュまでしっかり振り抜いたスウィングをじっくり見てみると、どの選手にも共通する重要なポイントが見えてきましたので解説していきましょう。
どんなプレーヤーでもスウィングのエネルギーを生むには、横方向の力(ホリゾンタル)、回転する力(トルク)、そして縦方向の力(バーチカル)というこれら3つの力を使っていますが、3つの力を使う割合は人それぞれです。ですが、横方向→回転→縦方向という使う順番は共通していることが計測器の分析からわかっています。
例えば、ダウンスウィングの切り返しで回転する力から使ってしまうと、クラブは外から下りるカット軌道になりやすくスライスや引っかけの原因になります。
山内選手のスウィングを見ると、テークバックで右サイドに重心を移すとトップの位置にたどり着く前にわずかですが左への重心移動が始まっています。
左へ重心移動と同じくしてトップの位置が形成され、下半身を使って回転力を得ることでクラブは体に巻き付くようにダウンスウィングへと移っていきます。
そして最後に左足を伸ばす縦の力を使ってクラブヘッドを加速させる動きが入っていることが見てとれます。この3つの力を使う順番が狂わなかったことで、最終ホールまで再現性の高いスウィングをキープすることができていました。
この優勝の資格で出場が決まった地元宮崎で開催される最終戦「JLPGAツアー選手権リコーカップ」では、多くの声援を受けてプレーする山内選手に注目していきましょう。