ベトナムでは2020年までに新たに約80コースがオープン予定
現在、ベトナムはリゾートコースだけでなく、世界的なトーナメントを開催できるハイレベルなゴルフ場が続々とオープンしている「ゴルフ発展途上国」である。現在、建設中のコースも含めベトナムには40コース以上あり、ベトナムゴルフ協会によればベトナムのゴルフ人口は1万人くらい。
アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ、オーストラリア、日本、韓国、台湾……と海外からたくさんのゴルファーたちがゴルフのためにベトナムを訪れることも珍しいことではなく、年々その数は増加の一途をたどっているが、2020年までには80コース近い数のゴルフ場がオープンする予定だという。
設計者は、ジャック・ニクラスデザインによる設計コースが10カ所ある他、グレッグ・ノーマン、ルーク・ドナルド、コリン・モンゴメリーなど世界のトップクラスのプレーヤーが監修するコースもあり、ベトナムはアジアでも有数のゴルフリゾート地に変貌を遂げている。
気候、コースコンディション、練習環境などどれを取っても最高の環境を備えており、美しい海を眺めながらプレーできるシーサイドコースが多いことも特徴だ。
さて先日、グレッグ・ノーマンが設計したコース「KNゴルフリンクス」が正式にオープンするというので、一路ベトナム・ニャチャンへ向かった。彼はすでにベトナムで「ザ・ブラフス・アット・ホートラムストリップ」「ザ・デューンコース・アット・ダナンゴルフリゾート」の2コースを手がけており、今回お披露目となった新コースは3コース目。
ホーチミンシティから空路で約1時間、カムラン国際空港から車で5分というアクセスの良さも魅力で、海に面する800ヘクタールの広大な土地に、18ホールの「リンクス」(全長7165ヤード、パー72)と9ホールの「オアシス」(全長3457ヤード、パー36)の2コースが広がる。
もともとこの土地の持つサンドデューンとアンジュレーションを生かした設計となっており、ノーマンの母国・オーストラリアなどでよく見られる「ウェイストエリア」(芝のない、救済の受けられない場所。ソールできる)が広がるコースとなっている。
緑のじゅうたんのような芝に、青い海と空、そして白い砂地のバンカーの色のコントラストが美しく、どんなスキルレベルのゴルファーも楽しめるようにティマークも5つ用意。リンクススタイルのコースだが、ノーマン曰く「アイリッシュ風でもなければ、オーストラリア風でもない。スコットランド風でもない、本当にただすばらしいリンクスだということだ。このコースは、私が設計した104コースの中でもトップ10に入るユニークなロケーションにある。2015年に初めてこの地を訪れた時に、その広大なスケールにびっくりしたくらいだ」と絶賛している。
ノーマンは25年間に渡り、世界中の素晴らしいコースをプレーしてきた経験を生かし、「できるだけあるがままに残す」という設計理念に基づいて、世界34カ国で100コース以上のゴルフ場設計に携わってきた。そんな彼が、ベトナムにはゴルフに適した気候、美しい山々や川、海、おいしい食事、人柄のいい国民性、交通の利便性などいろいろな要素が揃っており、ベトナムは将来的に東南アジアのゴルフデスティネーションのトップクラスに入る国であると太鼓判を押す。
「ベトナムには、1年間に15.5ミリオン(1550万人)の観光客が訪れているが、その0.5%がゴルフをしている。それが1.5%、2%と年々ゴルファーの数が増えていけば、20〜40年後には国家の繁栄にとってもビッグチャンスになることだろう」
ベトナム政府は近年、ゴルフリゾートの建設に力を注いでいるが、日本を含むアジア各国からのアクセスもよく、気候も温暖で、ゴルフリゾート開発には最高の場所。まだまだ手付かずの“原石”とも言うべき土地がベトナムのあちこちに眠っているが、現在、ラグジュアリーな5つ星のホテルリゾートや世界のトップクラスの設計家がデザインするゴルフ場が南シナ海の美しいビーチ沿いなどで建設ラッシュを迎えている。
眼光鋭いビジネスマン、ホワイトシャークがベトナムの魅力をいち早く察知し、さらなるビジネスチャンスを伺っているのを見れば、ベトナムが将来的にアジアのゴルフ大国に化ける可能性があることは明らかだ。
ノーマンはさらに、「PGAオブ・アメリカが全米プロを米国内だけでなく、世界中で開催しようという計画もある」と語り、その開催地にベトナムのコースが選ばれる可能性もあることを示唆した。ベトナムだけでなく、アジアのゴルフの発展が今後ますます加速することは間違いないだろう。
TEXT/Eiko Oizumi