松山は練習場で「直ドラ」でスウィングを整えた
火曜日の練習日、松山英樹選手の18ホールの練習ラウンドに付いて歩きました。プレーを共にしたのは、竹安俊也、比嘉一貴の東北福祉大の後輩ふたりに嘉数光倫を加えた三選手。後輩たちの技術的な質問にも気軽に答えるなどリラックスした様子でしたが、自身は復活のきっかけがなかなかつかめず、納得のいかない様子も散見されました。
一年前に松山選手から「技術が足りない」とハッパをかけられ、この一年間の成長を見てもらいたかったという竹安選手は、練習ラウンドで「勝負してもらいました」とこう言います。
「僕は調子が良くて、松山さんは調子が悪かったのに同点でした。なんとか善戦したって感じでした。飛距離もそうですけど曲がったところからの対処法も全然違いますし、アイアンのキレがすごかった。ドライバーが真っすぐ行ったらめちゃくちゃヤバやばそうです。いろいろ教えてもらいました」(竹安)
先週の三井住友VISA太平洋マスターズでも、調子が悪いと言いながらも、アプローチやトラブルショットではさすが松山というプレーを見せていました。竹安選手の言葉通り、ドライバーのきっかけさえつかむことができれば、間違いなく優勝争いになるはずです。
ラウンド後の練習では、直ドラ(ティアップせずにドライバーを打つ)の練習や、タオルを右足にあて後方から引っ張ってもらいながら打つなど、ドリル的な部分に力を入れている姿が印象的でした。
先週、クラブがやや下から入って左へのミスが生じていた松山選手。直ドラにすると、クラブが下から入るような動きではボールを打てません。また、右足をタオルで引っ張ることで、右足が伸びず、右腰が浮かなくなるため、体が早く伸び上がってクラブが下から入るミスをより防ぐことができます。いずれも、左へのミスを修正するための練習ほうだと思われます。
下半身の動きと上半身や腕の動きの連動を確かめながら、手先ではなく体でフェース面をコントロールするように意識している様子が見て取れました。
ただ、水曜日の記者会見では、「火曜日の練習でつかんだものをプロアマで試してみたが上手くいかなかった。また悩みのほうへ向かった。この後の練習でいいきっかけをつかんで上を目指したい」と話しており、本人の中でまだきっかけは見つかっていないようです。
好調と不調が紙一重という世界にいると思うので、修正するきっかけをつかんでくれることを願います。
「今週の目標は3連覇」ケプカに不安材料なし
一方、今年メジャー2勝のブルックス・ケプカは「3連覇を達成したい」と口にする通り、コンディションは万全に見えます。ゴルフの調子もまったく不安のない様子。
春先の手首の故障でマスターズを欠場しましたが、復帰後の活躍はご存知の通り。全米オープンを連覇し、全米プロも優勝、2017-18シーズンの最優秀選手賞も受賞。明けて2019シーズンの開幕後3戦目のCJカップで早くも優勝を挙げ、世界ランク1位で宮崎に乗り込んで来ています。
練習ラウンドを見た印象は、飛距離、方向性ともにこれぞ世界最高峰というもの。パットがよほど入らないといったことがない限り、優勝争いの中心になると思います。
ドライバーや3番ウッドの飛距離、高い弾道でピンポイントで落としてくるアイアンの精度は頭ひとつ抜けており、松山選手も「飛距離ももちろんのことだがショートゲームのうまさがなければ世界ランク1位にはなれない」と語るように、飛距離だけでなく小技にも強さを持っています。当たり前ですが、現・世界ランク1位は半端ではありません。
予選ラウンドを同組で回る目下賞金ランク1位の今平周吾選手は、「パワーが凄すぎて参考にならない。でも世界ランク1位で一番調子のいい選手と回れるのはラッキー」と言います。今平選手には、日本の賞金ランク1位として、ケプカを驚かせるようなプレーを見せてもらいたいところですね。
「ゴルフの状態は非常にいい。どの試合でも優勝目指してやっているが、今週も自信があるし最終日のバックナインで優勝争いをできるようにしたい。今週の目標は3連覇です」
そう会見で語ったケプカ選手。ダンロップフェニックスの優勝者には副賞として宮崎牛が贈られるのですが、ケプカ選手の冷凍庫は2年分の宮崎牛でもうパンパンだそうですが、練習風景を見る限り、ケプカ選手が冷凍庫を買い足す必要に迫られる可能性は低いとは言えません。
勝つのはケプカか。それとも松山選手が復調のきっかけをつかみ、勝利を手にするのか。はたまた、今平周吾選手を筆頭とした日本ツアーの選手たちが意地を見せるのか。楽しみという意味では今シーズン屈指の週末が、いよいよ始まります。