ダンロップフェニックスの前週の三井住友VISA太平洋マスターズ。市原選手はなんと初日「79」の大叩き。その週予選落ちを喫した選手が、次の週に優勝しているのだから、ゴルフはなにが起こるかわかりません。
もっとも、市原選手に話を聞くと、「VISA太平洋」の2日目はリズムとテンポに注意してプレーした結果、感触は良くなっていたのだそうです。そのままの感じで宮崎入りし、徐々に調子を上げていったことが、最終日の劇的な逆転優勝につながったのだそうです。
宮崎は市原選手にとってゆかりのある地です。ウェア(P'MAS)は宮崎のメーカー。さらに、谷口徹選手とオフに合宿を共にする地でもあります。優勝を決め、アテストルームから出てきた市原選手にウォーターシャワーを浴びせた谷口選手との合宿には、かれこれ四年前から参加させてもらっているそう。
「20代の若い世代がツアーに出てきている中で谷口さんの向上心や新しいものを取り入れて取捨選択したり、勝負にこだわる姿勢をみて、自分もまだまだ頑張ろうと」そう、合宿に参加している理由を教えてくれました。
そんな市原選手ですが、昨年は獲得賞金約880万円で88位とシード落ち。今季はQT10位の資格で参戦していますが、開幕当初は、下部ツアーにあたるAbemaTVツアーの賞金ランク上位20位以内に入って来年(2019年)のレギュラーツアーに出られればいいいと思っていたと言います。
それが、今自分のできることからひとつずつクリアしていった結果、「日本ゴルフツアー選手権」での初優勝へとつながったようです。しかし、そのあとは予選を通ったり通らなかったりで、
「優勝はしたけど他はずっと予選落ちで成績が出ないというのは嫌だった。全英オープンやWGCブリヂストン招待にも出て、結果はダメでしたけど自分なりに手ごたえは感じていました」
そして迎えた「ダンロップフェニックス」では、最終日の17番でボギーにするも最終ホールにバーディを獲り、練習グリーンでプレーオフに備えていたところ、優勝を争っていた堀川未来夢選手が最終ホールにまさかのボギーを叩き、吉報が舞い込んできました。
「プレーオフになればいいなと思っていました。でも堀川がバーディを獲って2位なんだろうなと。それがまさかという感じです。自分としてはベストなゴルフができたので悔いはありませんでした。でも6番で長いバーディパットが入ったり、9番で2打目が入ってイーグル、16番でもバーディと勝たなきゃいけない流れがきている。17番でボギーにしても自滅だけはしないよう切り替えられたことで18番のバーディにつなげられたと思います」(市原)
優勝賞金4000万円を加えて、現在の賞金ランクは約8000万を稼いで4位と、昨年の10倍近い額になっている市原選手。ヘルニアでクラブを握れない時期を過ごすなど、ゴルフを続けられないかもしれないという苦しい時期を乗り越え開花したこの活躍は、谷口徹という年齢を重ねても活躍できることを証明する“師匠”の背中があればこそ。
アジアや海外の試合にもチャレンジしたいという、まだまだこれからの36歳。来年以降の戦いが、ますます楽しみです。