「海外でやりたいのが常日頃からの目標」(宮里)
「移動の面も、コースも過酷だと思うんんです。でも、(だからこそ)ゴルフがもうワンステップ上に行けると思うし、色々な国のコースを回ることで、自分らしさが出てくると思う。自分探しの旅という感じですね」欧州ツアー開幕戦「ホンマ香港オープン」の練習日、宮里優作はそう欧州ツアーに臨む動機を語ってくれた。
宮里は今年欧州ツアー19試合に参戦し、ランク103位でシード権を獲得している。シード選手としてプレーする2019年シーズン最初の試合、それがホンマ香港オープンというわけだ。
「ヨーロッパーに一昨年から谷原(秀人)さんが行っていて、いろいろ聞いていました。PGA(ツアー)でもヨーロッパでも、海外でやりたいのが常日頃からの目標。ヨーロッパのほうが出られる試合が多いというのを聞いて(欧州ツアーを選んだ)」(宮里)
宮里にとって東北福祉大学の先輩にあたる谷原秀人は、欧州ツアーでランク59位につけ、上位60名しか参戦できない最終戦にまで駒を進めている、現時点での日本人選手の欧州ツアーにおける第一人者。ホンマ香港オープンはワールドカップ出場のため欠場するが、谷原の存在はやはり大きいようだ。
そして、谷原、宮里とともに、欧州ツアーの2019年シーズンを主戦場とするのが、“旅人ゴルファー”の異名を誇る川村昌弘だ。
14歳の頃からの夢を叶えた川村昌弘
ブリヂストンオープン、マイナビABCと2試合続けて優勝トロフィーに片手をかけ、いずれも単独2位でフィニッシュしたことは記憶に新しいが、実は川村はその後欧州ツアーの最終予選会に参加。11位タイでフィニッシュし、見事これを突破している。「やっと、スタートです」と川村は言う。
「ヨーロッパツアーに(スポット参戦で)出始めて5年くらいになりますが、やっとちゃんと(ツアーメンバーとして)出られます。14歳くらいの頃にエビアンマスターズのジュニア大会があり、それからずっとヨーロッパでやりたかった。11年かけて、やっと出られます」(川村)
遡ること11年前、14歳の川村は欧州ツアー・エビアンマスターズのジュニア大会に参戦、優勝を果たしている。しかも、そのときのアメリカチームの顔ぶれが凄まじい。
「アメリカチームが、ジャスティン・トーマスとジョーダン・スピースだったんです。あとから思えばいい思い出です」(川村)
14歳の少年の心に刻まれた、エビアンの美しい景色と、国際大会での優勝経験。それが彼の人生を決めたと言ってもいいのかもしれない。現在日本ツアー賞金ランク9位の川村だが、今季は日本ツアーには出場せず、来季も「日本オープンだけは絶対に出ようと思いますが、それ以外はわからない」と語る。
高いレベルでプレーしたい、自分のゴルフを高めたいという意思がみなぎる宮里優作、そして少年の頃の夢を11年の時をかけて叶えた川村昌弘。動機は異なれど、同じ欧州ツアーに挑むふたりに谷原秀人を加えた3人の日本人選手の活躍を、心から期待したい。