久常涼がフランスオープンで初優勝した欧州ツアーに、同じく参戦中の「旅人ゴルファー」こと川村昌弘。その川村に日々の生活をたっぷり聞いてみたら、海外転戦の際の生活のヒントがたくさんあった。
画像: カメラの腕前もプロ級の川村。欧州ツアー3年目で出場したオメガ欧州マスターズのコースで自撮り! 「ゴルフって道具とかスウィングとか、のめり込む要素は人それぞれだろうけど、僕はコースが一番好きです」(川村)

カメラの腕前もプロ級の川村。欧州ツアー3年目で出場したオメガ欧州マスターズのコースで自撮り! 「ゴルフって道具とかスウィングとか、のめり込む要素は人それぞれだろうけど、僕はコースが一番好きです」(川村)

「国内なら、西は鳴尾GC、東は箱根CC。その2コースは不動のベスト」(
川村)

時松 昌弘って、トレーニングはしてるの?

川村 僕は嫌いなことはやらないから、あまりしてない(笑)。ゴルフは大好きなんで、練習はやってるけどね。あとは旅も好きだから、ツアーで世界中を回れている今がとても幸せだね。

時松 旅といえばGDOの連載『いま僕はココにいます』で渡り鳥みたいな生活のことを綴っているね。訪れた国の数はもう70カ国にもなるって?

川村 70カ国も行くと、名コースも珍コースもあるよ。僕、本気で回りたい自分が好きそうなコースへ行くときは、朝イチのラウンドを予約して気合を入れていく(笑)。

時松 そんななかでもどこが昌弘にとってのベスト?

川村 国内なら、西は鳴尾GC、東は箱根CC。その2コースは不動のベスト。どちらもトラディショナルなコースだけど回っていて面白い。それに何より景色がよくて、球がゆっくり飛んでいくんだよね。海外だとアイルランドのラヒンチGC。「アイルランドのセントアンドリュース」とも呼ばれていて、自然の地形がそのまま生かされた起伏が、何とも美しい。もちろん本家のスコットランドのセントアンドリュースも大好き。あの1番、17番、18番は最高! だけどほかの15ホールは全然普通なんだよね(笑)。

「ヨーロピアンツアーの選手は全員が『旅人ゴルファー』」(川村)

時松 日本と共催になるアジアの試合もあって、そのときは僕のマネジャーが予約してくれたホテルをもう一部屋追加して、昌弘と一緒に泊まったよね。シンガポールとか韓国とかいろんな国へ行って、海外も楽しいとは思うけど、1年間ずっと行くのは無理かも(笑)。

川村 1年間どころか、もう5年以上もやっているよ。日本人では僕一人だけだから珍しがられるけど、ヨーロピアンツアーの選手はみんな同じ動きをしているから、全員が「旅人ゴルファー」。僕の希少価値は日本国内でしか通用しない(笑)。アフリカ~日本~イタリアとか、今年の春も試合したけど、移動距離はハンパない。

時松 僕はもちろんほとんど国内の試合で、それでも北海道から沖縄まで、移動だらけの生活だなって思うけど、昌弘の場合はスケールが違うね。

川村 僕の場合、国内ばかりで戦うことって、きっとできない。なぜなら飽きちゃうから(笑)。勝手に高い目標を設けて海外へ出ちゃったけど、国内でシード権を獲得して頑張っている源ちゃんたちのような選手もすごいよ。プロのなかでも誰もができることではないしね。

「若いんだから海外へ出るべきだとは思わない」(川村)

時松 今の若手には海外へ挑戦してもらいたいという気持ちはあるの?

川村 海外が嫌いと公言している選手もいる。だけど僕は若いんだから海外へ出るべきだとは思わない。目標もスタイルも人それぞれでいいんだし。

時松 僕は長距離の飛行機があまり好きじゃないからな。

川村 僕も嫌気がさすよ。エコノミーだろうとビジネスだろうと、気圧の変化で体が拒否反応を起こして頭痛や発熱なんかもあるし。だけど、そうした苦痛より、モチベーションが勝るから、仕方なく乗るよ。でも5年一緒にいてくれているキャディはたまらないだろうね。感謝してます!

時松 時間のやりくりも苦労してそう。練習はできているの?

川村 練習時間を確保することも大切だけど、体調管理も必要なので、試合に出ることそのものが練習になっているという気でいる。無理に練習して怪我をしてもいけないから。

「ヨーロッパも5年やってみて飽きつつある(笑)」(川村)

時松 食事も気を使うよね。

川村 体調管理に食事は重要だから、いろいろやってみた。自分の体を使って実験しているようなもの。小麦抜き、砂糖抜きとか。ペスカタリアンといって、ベジタリアンの魚は食べるバージョンとか。今もやっているのは、翌日のスタートが午前中のときは夜に肉を食べない。消化に時間がかかるから。朝晩きっちり体重を量って、何を食べたらどれだけ代謝が変化したか確認しつつ。

時松 そこまで管理しているんだ。うどんもドーナツもワッフルも好きなくせに(笑)。結果はどうだったの?

川村 めちゃくちゃ痩せちゃっただけ!(笑)。

時松 ヨーロピアンツアーも5年。次の目標は?

川村 やっぱり、アメリカへ行ってみたいよね。昔はアメリカ1カ国に留まるなんて面白くないからヨーロッパなんだと言い訳していたけど、ヨーロッパも5年やってみて飽きつつある(笑)。

時松 そうした飽きっぽい性格というのも、いいほうに働いているんじゃないのかな。

川村 そうかもね。次へ次へと舞台を変えたい。ゲームじゃないけど、初級編をクリアしたら、中級編へ。中級編もまだクリアしていないくせに、上級編をかじりたくなるというね(笑)。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月3日号「時松プロ ご指名プロと技トーク わかったなんて言えません」より

This article is a sponsored article by
''.