クラブヘッドが動く距離を少なくし、ミート率を高めて飛ばす
PGAツアーに参戦してから18年間シードを失ったことがなく、2位が16回、3位が9度、そして88回のトップ10といった素晴らしい安定した成績を聞いたときに、ゴルフファンは誰を思い浮かべるだろうか?
なんと、それは10年以上の時を経て、ようやく3度目の優勝を手にしたチャールズ・ハウエル3世だ。今回のプレーオフにまで至る最終日を見ていて気づいた点がいくつかあり、それはアマチュアの方にとくに参考になるので紹介する。
まず、チャールズ・ハウエル3世のスウィングで気になった点はトップポジションだ。数年前、そして10年以上前に比べあきらかにショート(小さく)になり、リストワーク(手首の動き)も明らかに少なくなっている。
トップをワイド(低く)、そしてショート(小さく)に変えて大きな成功を収めたプレイヤーにジャスティン・ローズが挙げられるが、ハウエル3世も同じ試みをしていて、そして見た目にもしっかりと変化が表れており効果も出てきたと言えるだろう。ちなみにリッキー・ファウラーは低いトップからやや高めのトップに変え、また低いトップに戻してきている。
私の見解ではトップを高くしていいことはほとんどない。そしてトップを大きくすることも同じだ。アマチュアの多くは高いトップ、そして大きなトップになりがちだ。それは、飛ばしたいという気持ちから起こりがちな結果だ。
毎回ほぼミート率が変わらないプロと違い、アマチュアは毎回しっかり当たるかということがまず問題だ。プロはヘッドスピード、スピン量が飛距離にかなり影響してくるが、アマチュアの場合はミート率だ。まずミート率をあげることが飛距離アップへの最初の条件である。
そのミート率を上げるという意味で、チャールズ・ハウエル3世の取り入れているワイドかつショートなトップは非常に効果的だ。クラブヘッドがトップからフォローにかけて動く総距離、そして軌跡がミート率に影響を与える。とくに影響を与えるのが、クラブヘッドが動く距離だ。短いほうが安定しやすいのは当然の理だ。
トップをショートにしたこと、そしてリストワークを制限したことによりハウエルは見事にクラブヘッドが動く総距離を減らすことに成功したと言えるだろう。素振りからもショートトップへの意識はしっかりと見て取れた。最終ホール、プレーオフと安定したスウィングでフェアウェイを捉え続けた。
そして徹底して打ち続けたアイアンでのパンチショットもグリーンを捉え続け、勝負を決めたバーディを生むことになった。ハウエルはトップだけでなくフィニッシュも短くすることにより、アイアンの飛距離よりも精度を求めていた。
彼のスタイルから参考にできることは、とにかく振りすぎないということだ。クラブヘッドが動く距離を少なくし、安定感を追求する。アマチュアレベルにおいては、安定感、そしてミート率アップからの飛距離アップも期待できるだろう。
ぜひ、ショートトップを練習場で試してもらいたい。ハーフショットを打つつもりでトップを作り、そこからしっかりと振る。それに慣れていけばミート率は上がり、曲がり幅も減ることだろう。トニー・フィナウ、ジョン・ラームを見ても分かるように、飛距離にまず大事なのはトップを大きくすることではない。
ミート率を上げられる根拠のあるトップを作ることから始めてみてはいかがだろうか。