「いいか、アメリカ、君たちはいまとんでもない凡戦を観せられているぞ」
ピンをさすスーパーショット、バーディに次ぐバーディ。スーパースターの圧巻のプレーにため息をつく展開が繰り広げられる。そんな期待は早々に裏切られた。
2ホール目でタイガーが短いパーパットを外すと両者ピリッとしないプレーが続き、NBA(バスケットボール)の元スターで解説を務めたチャールズ・バークレーが「いいか、アメリカ、君たちはいまとんでもない凡戦を観せられているぞ」と視聴者の気持ちを代弁するようなコメントを繰り出した。
ミケルソン優位で迎えた17番ではタイガーがグリーン外からチップインバーディを決め“らしさ”を見せ「彼はいつだってそう。いいところまでいくと意地悪いことをする」とミケルソンが愚痴る場面も。
結局18ホールでは決着がつかずプレーオフにもつれたが日はとっぷりと暮れ暗闇の中投光器がグリーを煌々と照らす異例の状況。
最後の3ホールは93ヤードのアプローチ勝負。「この距離はいつもなら得意なんだけどね(苦笑)」というタイガーがバーディチャンスを作れず、22ホール目で1.3メートルに寄せバーディを決めたミケルソンが左腕でガッツポーズ、10億円をゲットした。
「マスターズや全米オープンで競り勝ったわけじゃない。でも自分にとっては特別。これまで痛い目に遭わされてきただけにここで勝てたことの意味は大きい」と独特の緊張感から解放され饒舌に語った勝者。
10億円とともに表彰式で送られたベルト(チャンピオンベルト?)を腰に巻くよう促されると「これはサイズが小さいな。あー、なるほど。タイガーが勝つと思ってタイガーのサイズのベルトを用意してたんだ」と鋭いツッコミで爆笑を誘った。
「この(ベルトの)バックルをタイガーに会うたびにつけていく。マスターズのチャンピオンズディナーでも自慢する」とこの一戦に賭けていた48歳ははしゃいでみせた。結局勝利への執念と熱量に勝ったミケルソンに勝利の女神が微笑んだということなのか。
ところで本来視聴者が19ドル99セントを支払うペイ・パー・ビューで放映される予定だったが技術的な問題が生じ無料放送になるというアクシデントも。
番組が始まってほどなくしてブリーチャーリポートライブが無料で視聴できることが判明。SNSでこの話題が拡散されクレームが相次ぎ、結局ターナースポーツが無料放送にすることを発表。すでに19ドル99セントを支払った視聴者には返金されるが、世紀の凡戦と酷評されるは無料放送になるは、果たして「ザ・マッチ」は成功だったのか失敗だったのか?
ストロークプレーならこの日の両者のスコアは69。次回は60台半ばのスコアが出るような戦いが観たい。そんな気持ちにさせられるということはひとまず成功だったのかもしれない。