1メートルのショートパットはプロもアマチュアも絶対に入れたい距離。しかし、曲がるラインともなれば外れることも多くある。1メートルを確実に沈める秘策はあるのか? 増田哲仁の著書「ネジらない!から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る。」からショートパットの極意を紹介。

スクェアに構えて順回転のボールを打つ必要はない

ーー伝説のトップアマ、中部銀次郎さんは、1メートルのショートパットを徹底的に練習して、日本アマ優勝6回の偉業を成し得ました。いわく「1メートルを確実に入れる技術とメンタルがあれば3パットは防げる」。

中部さんに限らず、1メートルは誰でも絶対に入れたい距離ですよね。とにかく、絶対に入れたいわけですから、カップに入るならなにをしてもいい。そういう気持ちを持つことです。構えもスクェアにこだわらず、野球でいえば、一塁方向に体を向けておいて、三塁側にバントをするようなことをやったって構わないんです。

ーー必ずしも、スクェアに構える必要はないということですね。

もちろん、パッティングの基本はスタンスもフェースもスクェアに構え、きれいな順回転で真っすぐ打つこと。ただ、1メートル前後のショートパットでは、スクェアに立って、順回転で真っすぐ打つことにこだわり過ぎると失敗することもあるので気をつけてもらいたいですね。

ーーどういうことでしょうか。

わずか1メートルでも、カップを外して狙わなければいけないぐらい曲がるラインもあります。そういう状況では打ち出しが真っすぐで素直な順回転のボールだと、転がりが素直な分、傾斜の影響を 受けやすい。そのため、ラインもタッチもぴったり合っていないと、予想以上に曲がりが大きくなって、カップに蹴られて外れるといったことが起きるんです。

基本的に、1メートル前後のショートパットでは、カップを外すくらい大きく曲がるラインだったとしても、カップを外すような狙い方をするべきではありません。常にカップから外れないように、ラインを薄く読んで狙っていかないとダメなんです。

ーーええっ? 真っすぐ順回転のボールを打つと大きく曲がる。でも大きく曲がるラインもカップを外して狙ったらいけないなんて.........。

カップを外して狙うような大きく曲がる場合は、真っすぐ順回転で打ったらいけないということです。ボールに横回転をかけるんですよ。たとえばスライスラインならフック回転、フックラインならスライス回転をボールにかける。これなら傾斜がスピンで相殺されて、カップを外すことなく狙っていけるはずです。中部さんのコメントではありませんが、1メートルを確実に入れるためには、やはり「技術」(スキル)が必要なんです。

1メートルは気持ち左右の回転をかけてやる

ーーパッティングでポールに左右の回転をかけるんですか。すごい技術ですね。そんなこと、我々にもできるんですか?

もちろんドライバーのように目に見えるぐらい曲げることはできません。しかし、 ショートパットで傾斜の影響を減らすぐらいの回転をかけることは可能です。1メートルでも、カップ1つ分左とかラインを出して狙うと、少しでも打ち出しの方向が狂ったり、タッチが合わないと外れてしまいます。

だから大きく切れるラインでも、なるべく直線的に、切れないように打つ必要があるんです。たとえば、フックだなと思ってもラインに乗せず、カットに打ってスライス回転をかけてやれば直線的に狙っていけますよ。

画像: 曲がる1メートルは、ボールにサイドスピンを与えるのもアリだ

曲がる1メートルは、ボールにサイドスピンを与えるのもアリだ

ーー本当にそんなにうまくいくんでしょうか。ある程度、真っすぐ狙えれば、入る確率が高くなるのは理解できます。でも、本当にできるのかな。

回転をかけるといっても、最初のひと転がりとかふた転がりだけ、打ち出しの回転を変えるだけなんです。カットに打つにしても、自分でもほとんど気がつかないぐらいの程度、気持ちカットです。「曲げる」ではなく、あくまで「傾斜を消す」ことが目的だと考えましょう。またこの打ち方はショートパットを強めに打つ練習にもなります。ラインを薄めに狙っていくことになりますから、当然、強めに打とうという心理が働きます。 これができるようになると、カップの反対側の土手にぶつける、強めのタッチも自然に身につくんです。

ーー傾斜を消すとき、ボール位置は左右に動かしますか。

私自身、ボールはいつもスタンスの中央に置いています。これはボールがスタンスの中央にあったほうが、スライスでもフックでもどんなラインにも対応できるからです。また、打ち出し方向に目印となるスパットを設定するとき、目標方向だけでなく、飛球線後方側にも置くといいんです。ボール後方にスパットを置くと、前に置くよりも目標に対してスクェアに構えやすく、アドレスが狂いにくくなります。

パターマットがあれば、なにかマットの下に挟んで、傾斜をつけて練習すればいいんです。ラインを薄めに読んで、左右の回転を意識して強めのタッチで打つ。1メートルを絶対に入れるためには必須の技術です。

「ネジらない!から遠くへ飛ぶ、ピンに寄る。」(ゴルフダイジェスト新書)より

撮影/西本政明

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