現在のドライバーをはじめとするウッドクラブには、カチャカチャと呼ばれる可変式のシャフトスリーブが採用されたモデルが多い。しかし、この機能“よくわからないから使ったことがない”というアマチュアが結構いるのも事実だ。たしかに難解な感じもするが、使わないのももったいない……。ギアライターの高梨祥明がその使い方を説明する。

カチャカチャの目的が球筋調整から高さ調整に変わった!?

シャフト先端にスリーブを付け、レンチでネジを回して脱着するシステムを採用したのは、テーラーメイド「R9」(2009年モデル)がその先駆けだ。キャロウェイのi-MIX、ナイキのSTR8 FITも同時期に展開されていたが、この2つはホーゼル上のリングをスパナのような専用具で回す方式だった(結局はすぐに両社ともテーラーメイドと同じ、ヘッドのソール側からネジを緩める方式に移行)。

画像: スリーブが1.5度〜2.0度傾いており、シャフトを回転させて再装着することでネックの装着角度が変わって、フェース向きやライ角度が変わる(写真はR9ドライバー)。

スリーブが1.5度〜2.0度傾いており、シャフトを回転させて再装着することでネックの装着角度が変わって、フェース向きやライ角度が変わる(写真はR9ドライバー)。

さて、このアジャスタビリティシステムが世に出た当時、シャフトのスリーブにはNEUTRAL(ニュートラル)、LEFT(ドロー)、RIGHT(フェード)と表記されていた(R9の場合)。

シャフトを回しLEFT(ドロー)ポジションで再装着すると、インパクトでフェースが左に向きやすいため、スライスが軽減。RIGHT(フェード)にすれば、逆に左への曲がり方が軽減される、そういう説明だった。

しかし、今も可変式シャフトスリーブの構造は基本的には変わっていないのだが、その表記はHIGHER(高く)、LOWER(低く)と変わっている。球筋調整(方向性)のために使う機能だったのだが、現在では弾道高さを調整する機能へと変化しているのだ。

調整目的が左右から上下に変わった。たしかにこのあたりが「難しい。よくわからない」といわれてしまう理由になっているかもしれない。

弾道調整というワードは忘れ、スクェアインパクトを目指す

たとえば現在のHIGHER(高く)ポジション。これは最初のDRAW(ドロー)ポジションである。NEUTRAL(ニュートラル)からこのポジションに変えると、フェースは左を向く。これを左向きのままインパクトすればLEFT(ドロー)、スクェアにインパクトすればロフトがつきHIGHER(高く)となる。

つまり、最初はそのままインパクトする前提の表記、現在はスクエアにインパクトした場合の効果を表記しているのである。

ここで大きなポイントがある。それは、いずれにしても“スクェアインパクト”することが、その表記通りの弾道を得る絶対条件だということだ。LEFT(左)と書いてあっても、それはドローボールやフックを打つために使うという意味ではない。フェースが開いて当たり、スライスに悩んでいる人がLEFT(ドロー)ポジションにすると、フェースをスクェアにインパクトさせやすくなりますよ、と書いてあるのだ。HIGHER(高く)にしても同じ。このポジションにしてスクェアにインパクトできればロフトが大きくつき、高弾道になりますよ、と書いてあるのだ。

個人的には、アジャスタビリティスリーブを弾道調整のために使おうとすればするほど、仕組みを理解することが難しくなるような気がしている。それよりも、弾道云々ではなく「フェーススクェアにインパクトするために使う」と割り切ればいいのではないかと思うのだ。

現在のドライバーは巨大な慣性モーメントを有し、ボールも非常に低スピン化しているために、インパクトでフェースが向いた方向にそのまま真っ直ぐ飛んでいく。昔のメタルドライバーのようにギア効果で曲がって戻ってきたりはしないのだ。だからこそ、“スクェアインパクト”することがフェアウェイキープの絶対条件となるのである。

ちょっと右に行くなぁ、左に行くなぁと感じたら、ぜひ“スクェアインパクト”に近づくポジションにカチャカチャして、フェアウウェイの幅内にボールを打ち出すゴルフを目指していただきたい。本来はカチャカチャしなくても“スクェアインパクト”できるクラブを買うべきだが、長く使っていればどうしても突発的に右や左にボールが出てしまう期間があるものだ。

そんな時こそ、スクェアインパクト”に近づくポジションを探して欲しい。気に入ったクラブを長く使うためにも。

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