47歳のミケルソンがなんだかんだで存在感を発揮した
前代未聞といえばフィル・ミケルソンが全米オープンで繰り出した禁じ手が思い浮かぶ。最終日、シネコックヒルズの13番で3メートルのボギーパットがカップを大きくオーバーして下り傾斜をどこまでも転がりそうになったときのこと。47歳の大ベテランが信じられない行動を取る。
走ってボールを追いつくとまだ動いている状態のそれをカップに向かって打ち返したのだ。
もちろんこれはルール違反。2ストロークのペナルティを受けそのホール『10』を叩くと「ルールはわかっていたけど下までいったボールを打つよりまだ2ペナの方がマシだと思った。恥ずかしい行為だった。謝りたい」と自らの行動を猛省したミケルソン。
3月のWGCメキシコ選手権で久々にツアー43勝目を挙げライダーカップにも出場。タイガー・ウッズとの一騎打ち『ザ・マッチ』に勝って10億円を獲得するなど50歳目前にして躍動したミケルソン。YシャツのCMで不思議なダンスを披露し存在感をアピールした。そんななかでのルール違反には“う〜ん?”と首を傾げずにはいられない。
問題児といって思い浮かぶのがパトリック・リード。マスターズでメジャー獲りに成功し生涯最高のシーズンを送るかと思いきや、ライダーカップでキャプテンとジョーダン・スピースを名指しで非難。
これまでチーム戦でペアを組んできたスピースがジャスティン・トーマスとタッグを組み、自分はタイガーとのペアで2連敗を喫したことで激怒。「スピースははなからオレと組みたくなかったんだ。イヤな奴だ」と逆恨み。
ライダーカップから2カ月後に仲直りしたのかを訊かれると「ノー!」。「向こうは自分の連絡先を知ってるんだから」と詫びを入れるならスピースから、というスタンスを崩していない。
“キャプテンアメリカ”のニックネームはいまや“キャプテン論争屋(コントラバシー)”に変わり大学時代一緒だったケビン・キスナーが米ゴルフダイジェストに「彼は嫌われもの。チーム全員が嫌っていた」とぶちまけた。果たして今後もリードは我が道を行くのだろうか?
そして最後はウェブドットコムツアー(下部ツアー)で起きた珍事。
12月上旬来季の出場権を賭けた最終予選に挑んでいた25歳のコーディ・ブリックは最終日の朝コーチの婚約者に「あなたのクラブはどこ? ガレージの扉が開いていてバッグが見つからないんだけど」といわれ頭のなかが真っ白になった。
やがてクラブが盗まれことに気づきクラブ探しに奔走することに。グリーンキーパーのドライバーを借り、タイトリストのフェアウェイウッドとパター、寄せ集めのアイアンにウェッジはプロショップで調達。
ところがバタバタのなかスタートしたラウンドは予想外に絶好調。『63』をマークしフルシード権とまではいかなかったがシーズン前半8試合の出場権を獲得した。もし盗まれていなかったら『63』が出ていなかったかも? 人生なにがあるかわからない。
来るべき2019年はどんな事件簿をお伝えできるだろうか。
撮影/岡沢裕行