2018年シーズンの最終戦で復活優勝を遂げたタイガー・ウッズ。様々なトラブルや体の故障を乗り越え、2017年11月には1193位まで落ちていた世界ランキングは最終戦を終えて13位まで駆け上がった。そのスウィングをプロゴルファー・中村修が最解説!

筋肉の「伸張反射」を活かして飛ばす

最終戦で優勝した際のインタビューで、「開幕当初はここまでできるとは思っていなかった。スウィングを見つけることができて、試合を重ねる度に自信が深まった」と話していいました。度重なる故障と手術から復帰したタイガーにとって、ツアーで戦えるスウィングを見つけられたらことが復活した大きな要因です。

では見つけられた新しいスウィングはどのようなものだったのでしょう。タイガーといえども42歳になり、若い頃と比べると筋肉のしなやかさや反応速度、関節の可動域などは変化しているはず。同じように振ろうとしてもスピードが上がらなかったりスウィングが安定しなくなるものですが、タイガーは今年全盛期を上回るほどのヘッドスピードを叩き出しています。

若い頃はしなやかなバックスウィングから超スピードの腰の回転で一気に振り抜かれる電光石火のスウィングという印象でしたが、タイガーが見つけた新しいスウィングは、バックスウィングで左ひざに少し抵抗感を持たせることで、下半身から背中につながる大きな筋肉を伸ばし、伸ばした筋肉が縮む力(伸張反射)を使うことでスピードを上げているように見えます(画像1参照)。

画像: 画像1:アドレスとトップでの左ひざの位置がほとんど変わらない。これにより背中の大きな筋肉を伸ばす(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

画像1:アドレスとトップでの左ひざの位置がほとんど変わらない。これにより背中の大きな筋肉を伸ばす(写真は2018年の全米プロゴルフ選手権 撮影/姉崎正)

変わったのは細かいポジションというよりは、体の動かし方そのもので、これにはバイオメカニクス(生物力学)に精通した前コーチ、クリス・コモの助けも大きかったはずです。

2018シーズンは飛距離は303.6ヤードで32位とトップランクで戦うにもそん色ない飛距離を取り戻し、大型ヘッドのドライバーにも対応しています。右の写真を見るとトップでフェースがやや空を向いていることが確認できます。少しシャットに使うことで重心距離の長くなってフェースが返りにくくなった大型ヘッドに対応しているのでしょう。

画像: 切り返しで曲げられたひざがインパクトでは伸び、ジャンプするような動きも見られるようになった

切り返しで曲げられたひざがインパクトでは伸び、ジャンプするような動きも見られるようになった

2018年の全英オープンで練習ラウンドからタイガーに注目し取材しましたが、ティショットで使うロングアイアンの切れ味を見てかなりのレベルまで回復していることが見えました。最終日に首位に首位に立ちリーダーボードが変わった時には会場全体が揺れるような大歓声が上がり、この大会で勝てなくともタイガーの復活は近いと確信しました。

2018年の最終戦で米ツアー通算80勝を挙げたタイガー。現在メジャー14勝で、ジャック・ニクラスの持つメジャー優勝記録18回にどれだけ迫れるかが注目される2019年シーズン。復活したタイガーのさらなる活躍が楽しみです。

This article is a sponsored article by
''.