まず、正面から見たときのボールの位置ですが、これには、「すべてのクラブで同じにするのが正しい」、「クラブによってボール位置も変わる」という2つの理論があります。ボクの場合は、後者の「クラブによってボール位置も変わる」という考え方で、レッスンでもそのように教えています。
ではまず、パターを除いた13本の、ちょうど中間にあたる7番アイアンを基準に、適切なボール位置の説明をしていきます。一般的に、7番アイアンのボール位置はスタンスのちょうど真ん中と言われることが多いのですが、ボクとしてはスタンスの真ん中よりもほんの少し左にくるのがいいと考えています。
アドレスの姿勢から、剣道の面を打つように、クラブを真上から落とします。すると、クラブヘッドがスタンスの真ん中にセットされます。そのヘッドに合わせてボールを置くので、必然的にスタンスのセンターよりも少し左になる、というわけです。
次に、ボールとの前後の距離についてですが、ボールとの適正な距離を決めるときに、大事なポイントになるのが、クラブのライ角度(クラブを地面に置いたときに、シャフトと地面が作る角度)です。
具体的にいうと、アドレスでヘッドを地面に置いたときに、ソールのトウ側(先端側)が少し浮いて、地面との間にコインが2~3枚ぐらい入る状態で構えるのが理想です。
これはインパクトのときに、スウィングの勢いでシャフトが縦方向にしなる、“トウダウン”という現象が起こるからです。その分をあらかじめ考慮し、適正なライ角でインパクトできるように、アドレスではトウ側を少し浮かせた状態でセットするのです。
ヘッドをセットする角度が決まれば、手元の位置も決まります。これが適正なボールとの距離になります。ヘッドのトウ側が浮かないのは、ボール位置が体に近すぎるということ。逆に、トウが浮きすぎるのは、ボールとの距離が遠すぎる証拠です。当然、クラブの長さによって、ボールとの距離は変わります。いちばん長いドライバーが、もっともボールとの距離が遠くなり、そこからクラブが短くなるにしたがって、少しずつ距離が近づいていきます。
当然、正面から見たときの、左右のボール位置も、クラブによって変わります。ティアップしたボールを打つドライバーは、ヘッド軌道のちょうど最下点か、ほんの少し過ぎたところでとらえるので、自分の左脇の前あたりにボールを置きます。そこからクラブが短くになるにしたがって右に移動します。
なぜかというと、ドライバー以外のクラブは、地面に直接置かれたボールを打つので、ヘッドが最下点に下りる少し手前でインパクトする必要があるからです。ドライバーで左脇の正面、7番アイアンがスタンスの真ん中より少し左、ウェッジはスタンスのちょうど真ん中か、ほんの少し右に置く。これを左右のボール位置の基準にするといいでしょう。
写真/小林司 取材協力/ザ・ゴルファン