ロフトを立てることで番手以上の飛びを実現する、いわゆる“飛び系アイアン”。その飛び系を超える“ぶっ飛び系アイアン”がヒットしたかと思えば、その上をいく“超超ストロングロフト設定”のアイアンが登場と、着々とストロング化が進んでいる。そもそもの話、なぜ飛距離アップのためにストロングロフトなのか。その背景をギアライターの高梨祥明が改めて考えてみた。

飛距離に悩むゴルファーに、なぜストロングロフトを!?

皆さんはロフト21度といえば、どういうタイプのクラブを想像するだろうか。7番ウッド? あるいは3番ユーティリティ? やっぱり3番アイアン? こう書くと改めて平成30年、近代クラブの進化とはロングアイアン領域でのバリエーション拡大の歴史だったのだなぁと感慨深くなる。ロフトの立ったクラブはアマチュアには荷が重たかった。ついに3番アイアンはアマチュアのキャディバッグから消えたのだ。

そんな中、ついにロフト20.5度が5番アイアン! というモデルが登場した。キャロウェイのエピック・スターアイアンである。ぶっ飛びアイアンの代名詞であるヤマハのインプレスUD+2、ブリヂストンゴルフJGR HF1は5番で22度だから、その上をいく超超ストロングロフト設定ということになる。こうしたディスタンス系アイアンは飛距離アップを望むゴルファーのために開発されている。それなのに、ロフトは2番手〜2.5番手ぶん立ってきている。このあたりは実に不思議である。

画像: #5で20.5度(長さ/38.5インチ)、7番で26度(37.5インチ)のエピック・スターアイアン(キャロウェイゴルフ)

#5で20.5度(長さ/38.5インチ)、7番で26度(37.5インチ)のエピック・スターアイアン(キャロウェイゴルフ)

ボールの上がりにくいロングアイアンの代わりに、ロフトの大きいFW(ショートウッド)や、ウッド形状のUTが発達した背景にはアイアン形状ではヘッド重心を深く、低くしにくいという点があった(もちろんシャフトが長いことによるスピードアップも目的)と思うが、近年は高比重金属の圧入技術や軽くて強いフェース材の開発によってアイアン形状でも飛躍的に深・低重心にできるようになった。それがディスタンス系アイアンのロフトがどんどんストロング化していった背景である。

シャフト長さもカーボンシャフトの発達で長くなり、今の5番はほぼ昔の3番アイアンのロフト、長さが同じところまできているわけである(つまり、スペック的には3番アイアンは市場から消えていない)。

インパクトロフトを適正化する。そのためのストロングロフト

ここまで書くと、さすが現代クラブの設計・製造技術はすごいんだなぁとなると思う。3番スペックの5番を打てているのだからそれはものすごい革新だ。

実際にエピック・スターアイアンの5番を打ってみたが、確かにフェースの反発が高く、旧式のブレードアイアンよりも簡単に初速が出せる印象。打ち出しスピードが上がれば最高到達点までの距離が長くなる。つまり、キャリーが伸びる(飛ぶ)、そんな感じであった。

ロフトが立っていると、上がらないのではないか。もちろん、そんな不安もあると思うが、個人的にはそれはあまり気にしなくても良いと思っている。なぜなら、アイアンで飛距離が出せないゴルファーのほとんどが、上げようとしてインパクトでのロフトを大きく寝かしてしまっているからだ(この結果、フェース下でしか当たらない)。

米ツアーのプロなどは、いまだにノーマルロフトのアイアンを使い、180ヤードをショートアイアンで打ってくるが、これは飛ばないアマチュアの逆をやっていることの証しである。アイアンの静的ロフトは寝ているが、ボールに当てるときはそれよりも立っている。だから、ボールを遠くに飛ばせるのである。俗にいうハンドファーストインパクトになっているからだ。

仮に我々がツアープロのように、超超ストロングロフトをさらに立ててインパクトできたなら、ボールはまったく上がらず、適正なキャリーは出せないだろう。しかし、前述の通り、我々はインパクトロフトをつけて当ててしまいがちなのだ。加えて、深重心ヘッドではブレードアイアンのようにロフトを立てたハンドファーストインパクトは作りにくい。インパクトでロフトを立たせる動きをしない前提で、そもそものロフトが決められているのだ。

ロフトというと、常にカタログに表記された数字に支配されがちだ。立っていれば上がらず、寝ていれば上がりやすいと。しかし、最も大事なのは自分がインパクトでロフトを増やして当ててしまうタイプなのか、そのまま当てるのか、あるいは減らして当てるゴルファーなのかを知っておくことである。インパクトロフトが増えてしまうならば、そもそものロフトを立てておかないと、その番手相当の飛距離を作るための打ち出し角度や初速、スピンを得ることができない。超超ストロングなどと書かれていても、それで正しいインパクトロフトになるなら、それが“適正ロフト”なのだ。

新しい年になる。ロフトへの興味を静的(カタログ)なものから、動的(インパクト)に移行していきたい。アイアンに限らず、道具選びの第一歩は、自分の現状(インパクトタイプ)を知ることにあると思う。

HONMA

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