日本ツアーに本格復帰した2018年シーズンを未勝利で終え、2019年シーズンに巻き返しが期待される石川遼。そんな石川が、契約するキャロウェイのニュードライバーのテスト現場で、「5年くらい悩んでいる」というドライバーについて、じっくり語ってくれた。

「大型ヘッドに苦しんでいるプロがけっこういる」

みんなのゴルフダイジェスト編集部(以下、ーー):まずは新しいドライバーを打たれての印象を聞かせてください。

石川遼(以下、石川):フェース面と、クラウンのトップラインがきれいに平行になっていて、構えやすいんです。打つ前、ヘッド選びの段階で僕的には「(エピックフラッシュ)サブゼロ」の形が凄い好きで、いい予感はしていたんですけど、打ってみたら思っていたより良かったという感じです。

ーー「思っていたよりも」というのはどの部分がでしょうか?

石川:やっぱり見た目がよかったので、振りやすいだろうなと思ったら、思ったよりドライバーらしさというんですかね、スウィングしたときに大型ヘッド独特のフェースが開きやすい感じがないんです。

その後色々とお話を伺うと、フェース面が重くなっていたりとかで重心が前にきてたりとか、重心距離(編注:シャフトの軸線からフェース面上の芯までの距離。短いほどヘッドがターンしやすくなる)を短くしたりとかで、より3番ウッドとかに近い流れで打てるな~ていう感じがありました。

画像: 「エピックフラッシュ サブゼロ」を試打した石川。振り遅れが少なく、タイミングが合いやすいという

「エピックフラッシュ サブゼロ」を試打した石川。振り遅れが少なく、タイミングが合いやすいという

大型ヘッドに苦しんでるプロが結構いて、それって3番ウッドと大きさもまったく違うし、アイアンとはかけ離れている形なので、そういう部分で苦しんでる選手が沢山いるんです。自分もその中の一人なんですけども、今回のエピックフラッシュは見た目もいいし振った感じ振り遅れ感も少なくて、
タイミングが合いやすい。そこが思ったより良かった点です。

ーー以前のドライバーのテストで、石川プロはボール初速にこだわっているとおっしゃっていましたが、今回のテストではスピン量にフォーカスしている印象でした。そのあたり、なにか変化があったのでしょうか。

石川:ここ5年ぐらいドライバーで悩んでいて、一番悩んでいたのはスウィングのタイミングが他のクラブと比べてずれてしまうんですね。テストするといいデータのクラブはあるんですけど、シーズン通してみるとどうしてもアイアンに近づけたくなっちゃって、スピンを増やしていっちゃうんですよね、ドライバーで。

画像: 「今のは(スピン量)2700くらいですかね?」といったように、トラックマンで数値を細かく確認する姿が印象的だった

「今のは(スピン量)2700くらいですかね?」といったように、トラックマンで数値を細かく確認する姿が印象的だった

今までのクラブだとスピンが減る=右に滑りやすくなるって印象があったんですよね。ドロップ(編注:スピンが少なく十分な揚力が得られないことで飛距離をロスするミス)したりとか。でも今回のエピックフラッシュはスピンが減ってもまったく滑らないし、つかまりがいいので、そこが一番びっくりしたところかな。

フェース面がすごく強くなった感じがするんですよね。今まではフェースを薄くして反発をして飛ばすっていう、ギリギリ薄ければ薄いほど飛ばすっていう時代もありましたけど、それにちょっと一石を投じるクラブなんじゃないかなって思ってます。フェースが強いなんて今まで表現したことないんですけど、マッスルバックのアイアンを打っているような、凄い重い鉄の塊がボールに当たっているような感覚があるので、これでよくあんなに飛ぶなっていう感じです。それ(強さ)を求めると反発しなくなるんじゃないかなって、でもそれで反発して飛んでいるから正直びっくりしました。

ドライバーが曲がるから悩んでいるわけではない。問題は“タイミング”

ーー最初石川プロが、2018年シーズンで使っていたXRドライバーを打っていたとき、トラックマン弾道計測器)のデータでスピン量3000回転くらいでした。アイアンっぽい感覚を求めていくとスピンを入れざるを得ないということでしょうか?

石川:あれぐらいスピンを入れないと、アイアンと同じイメージで打てなかったので色々調整をしていった結果、自分的には最後(2018年の男子ツアー最終戦)日本シリーズも(最終順位2位タイと)良かったんですけど、スピンのせいでっていうのはおかしいですけど、5ヤードぐらいはロスしているなっていう実感がありました。スピンを減らせば5ヤード伸びるかなと思っていたんですけど、(
ニューモデルを打って)それよりさらに5ヤード伸びて、トータル10ヤード伸びたのはビックリしました。

重心が前にいっているので、その感覚がドライバーで悩んでる選手とか今までにないと(感じると)思うんですよ。ドライバーで悩んでいる=慣性モーメント(編注:一般に、大きいほどミスヒットに強くなる)を大きくやさしくすればその悩みがなくなると思いきや、そうではないんです。

ドライバーで悩んでいる選手って他のクラブとのタイミングの兼ね合いで悩んでいるので、ドライバーが曲がるから悩んでいるんではなくてドライバーだけ違うタイミングになっちゃうから悩んでいるわけで、そこを解決してくれる近道と感じたので、これは色んな人に手に取ってほしいなって。これは中級者とか上級者の方でもドライバーだけ掴まらないとかドライバーだけスライスしがちという人も多いと思うので、そういう人にも手に取ってもらいたいなって。

画像: 5年ほどドライバーに悩んでいるという石川。重心が浅く、短いエピックフラッシュは復調の鍵となるか?

5年ほどドライバーに悩んでいるという石川。重心が浅く、短いエピックフラッシュは復調の鍵となるか?

ーー昨年、宮里優作プロが260CCのドライバーを使って話題になりましたが、大型ヘッドはプロでも扱いにくさを感じる場合があるわけですね。

石川:そうです。エピックフラッシュは振っている感じが400CCくらいに感じました。460(CC)には感じないですね。自分的には小ぶりヘッドの時代がもう一度来てほしいなと思っているんですけど、振り感的に小ぶりのヘッドに近いんです。

フェース面が遅れたり、開いたりという、よく僕らが振り遅れると表現しますけど、ヘッドのトウ側が遅れちゃうんですよ。クラブ全体が遅れるというよりはトウ側が遅れる=開くということを振り遅れると表現するんですけど、それがなくなってる、かなり。今までが10だとしたら3か4くらいになっている。

ーーそのような感覚的な部分と、トラックマンの数値、双方を重視しているという印象を受けましたが、石川プロにとって理想の弾道とはどのようなものなのでしょうか?

石川:僕は今までスピンは多くてもいいのかなと思っていたタイプで、それは雨の日とかにスピンが減ったときにより滑ってしまうんじゃないか、ドロップしてしまうんじゃないかと恐れを抱いてたからなんです。

今回のドライバーはくっつく感じが非常にあって、滑らなそうだなという感じがあるので今回に関してはスピン量を2200(回転/分)、多くても2300くらいに留めていって、自分的には高い打ち出し角で高弾道の球を求めていこうかなと思います。

さっきのテストの中で低い球打ったんです。今平周吾もアゲンストの時低い球でスピン量の少ない低い球を打つんですけど、ああいう球って日本(のコース)で必要になってくるんですよね。それを今まで打てなかったんで、(それが)打ててくると引き出しが増える。スプーンより30ヤード飛んで曲がらなかったらバーディが狙っていける。そんなクラブかなと思います。(了)

撮影/三木崇徳

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