人工知能がデザインし、スーパーコンピュタが解析した
エピックといえば、二本の柱をフェース裏側に設置した「ジェイルブレークテクノロジー」による“禁断の飛び”が評判を呼んだ大ヒットクラブ。その後継モデル「エピックフラッシュ」は、海外ですでに発表され、PGAツアーの2019年初戦「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」ではザンダー・シャウフェレが使用していきなり勝利を手にしてもいる。
「AI」というキーワードの目新しさもあり、注目度が非常に高まる中での発表会となった。
エピックフラッシュの中核となるテクノロジーが、フラッシュフェーステクノロジー。従来のドライバーのフェース面は、フェース中央部分を厚くし、周辺にいくほど薄くするというのが一般的だが、エピックフラッシュが採用したフラッシュフェースは、見た目にも波型でかなり異形。
そして、このフェース面はAIがデザインし、スーパーコンピュータで1万5000通りのバーチャルプロトタイプを解析し、作り上げられたのだという。ちなみにこの作業を通常の家庭用コンピュータで行おうと思えば34年の時間がかかるというからなにやらすごい。
AIが担ったのは、反発のルールを守り、フェースの耐久性を十分に確保した上で、ボール初速を上げること。実際、波型の“AIフェース”は、一目で「人が作ったものではない」という印象。それと二本の柱が組み合わさったことによるボール初速のアップが、エピックフラッシュの最大の特徴だ。
「初めてこのフラッシュフェース見たときは失敗なのかなと思ったんです。(しかし、打ったら)非常に飛距離も出ますし、フェースを見た印象は驚きましたが、パフォーマンスは高いですね」とは登壇した石川遼の弁。
また、厚みのあるフェース面に対して上田桃子は、「薄ければ薄いほど飛ぶというイメージだった。凹凸があって厚いというのは本当に飛ぶのかな? と思ったんですが、本当に驚きでした」とコメント。
エピックフラッシュは、ネック調整機能(カチャカチャ)のない「エピックフラッシュ スター」と、カチャカチャありの「エピックフラッシュ」、そして上級者向けの「エピックフラッシュ サブゼロ」の3モデルがラインアップされている。
「スター」を構えてみた印象としては前作「GBBエピック」と、別シリーズの「ローグ」の中間くらいの印象といったところか。基本的にはシャローで投影面積が大きく、ミスに強そうな顔をしている。一方、ソールに可変式ウェートが採用された「サブゼロ」はディープフェースで非常に力強い顔つき。契約選手である石川遼は、サブゼロを実戦投入するという。
最終的に気になるのは、実際に打って飛ぶのか飛ばないのか、曲がらないのか曲がるのか、といったところ。しかし、「AIがデザインしたフェース」を持つこのドライバー、非常に気になるクラブなのは間違いない。
「今後もAIを使おうと思っていますし、そのパイオニアとなったことを誇りに思っています」(キャロウェイの開発担当者)
果たしてゴルフクラブに“AI時代”は到来するのか。注目だ。