手元の低いシャロースウィングで大型ヘッド時代をサバイバル
セルヒオ・ガルシアといえばプロデビューして間もない1999年8月の「全米プロ」で優勝したタイガー・ウッズと1打差の2位に入ったのを今でもよく覚えています。当時19歳の“神の子”の出現には、テレビの前で大きな衝撃を受けたものです。
それから約20年、結局メジャーはマスターズの1勝だけと、実力からすると物足りなさを感じないでもありませんが、未だ世界のトップで戦っているのはさすがです。
そのスウィングの特徴は、なんといってもデビュー当時から変わらない「手元の低さ」にあります(画像1参照)。
ダウンスウィングで手元が体に近く、かつ低く下りてくると、ヘッドの入射角は浅く(シャローに)なります。そうすると、インパクトでは打点が安定し、スピン量、球の高さが揃いやすく、距離感の安定につながるのです。そしてここが重要なポイントなのですが、その結果大型ヘッドと相性がいい。これが、ガルシアの20年にわたる活躍を支えています。
腕とクラブの角度をキープしたまま、ダウンで腕を振り出す
そのシャローな入射角を実現するために、ガルシアはトップからの切り返しで腰の動きと連動してクラブを真下に落とすような動きが入ります(画像2)。それによってインパクトのシャフトのラインと重なるプレーン上にクラブが乗るのです。
写真を見ると、手の位置だけが下がっているように見えるかもしれませんが、手元の位置に注目してみると、真下に落ちているのではなく背中側の一番遠いところから右のわきまで進んでいることが見てとれます。腰もしっかりと回転しているのがわかります。
もうひとつ、正面からの画像3でも確認してみましょう。左のトップの位置から下半身の巻き戻しと同時に手元も右の腰辺りまで下りてきています。飛ばしのエネルギーになるクラブのタメ、そしてシャフトのしなりも十分に入っているのがわかります。
注目していただきたいのは、肩のラインの巻き戻しよりも手元が大きく動いている点です。これはトップの形のまま体ごと回すのではなくトップで作った腕とクラブの角度(コック)はキープしたままで腕の運動量があるということです。
腕の運動量を増やすとなると手打ちになる恐れが出てきますが、トップで作った腕とクラブの角度をキープしたまま腕を振る感覚があれば手打ちにはなりません。手の振り出しを一切なくすと、軌道がカットかつ鋭角になりすぎることがままあるので、カット軌道でお悩みの方はトップからの切り返しをガルシアのイメージで真似してみると改善される可能性があります。
シャローでフェースローテーションの少ないスウィングで大型化したドライバーや低重心化したアイアンにも対応してきたガルシア。30代最後の年となる2019年もエキサイティングなゴルフを見せてくれることでしょう。