今年のソニーオープン・イン・ハワイは、2日目から首位を守り続けた40歳のベテラン、マット・クーチャーのツアー通算9勝目で幕を閉じた。不惑を迎えて絶好調のクーチャーの勝因と今後の活躍を、海外での取材経験豊富な元ゴルフ誌編集長が分析する。

PGAツアーでトップテン100回!

初日から3日目まで、1イーグル、17バーディ、1ボギーという絶好調なプレーぶりで、連日60台をマーク。ボギーはたったの1回だけという非常に安定したプレーぶりだったが、最終日は過去、最終組で優勝争いを何度も経験しているベテランも多少ナーバスになったのか、前半で3ボギーを叩くなど、“らしくない”プレーが続いた。

しかし、後半は5バーディノーボギーと本来の調子を取り戻し、若手で未勝利のアンドリュー・パットナムと4打差をつけ、22アンダーでホールアウト。シビ夫人と二人の息子が18番ホールで見守る中、短いパットを決めて今季2勝目を飾った。ちなみに今回の優勝は、PGAツアートップ10入り100回目となった。

そして今大会の優勝により、フェデックスカップランキングは、ザンダー・シャウフェレに続き2位。世界ランキングも22位まで浮上した。今季はメキシコで行われたマヤコバ・ゴルフクラシックで4年ぶりの優勝を果たしているが、今回のソニー・オープンで今季通算2勝目。4戦2勝と絶好調である。

クリス・オコネルコーチとともに、今季(2018-2019シーズン)初戦のシュライナーズ・ホスピタル・チルドレンオープン前にスウィングの調整を取り組んだのが奏功しており、現在もメキシコで優勝した時の好調ぶりをそのまま維持しているという。

画像: 今季2勝目を挙げたマット・ク―チャー(写真は2018年のマスターズ 撮影/姉崎正)

今季2勝目を挙げたマット・ク―チャー(写真は2018年のマスターズ 撮影/姉崎正)

「今は、ボールを思うがままにコントロールできている。プロだってそんなことは滅多にあるものじゃないけど、今はどんなコースでもいいゴルフができそうな予感がある。今年はこのまま好調をキープしていきたいね」

彼の今季のフェアウェイキープ率は6位(77.19%)、パーオン率は8位(78.82%)である。2017〜2018年
のフェアウェイキープ率が75位(63.27%)、パーオン率が94位(66.81%)であるのと比べれば雲泥の差だ。一体何を変えたら、ここまで劇的な変化を遂げられるのか?

「ボクもビジェイのようになりたい」

クリス・オコネルコーチは、昨年メキシコで優勝した後に米国のgolf.comの記者に次のように語っている。

「我々はバックスイングでもっとレイドオフ(シャフトが目標の左を指す状態)になるようにスイング改造に一生懸命取り組んだんだ」

もともとクーチャーのスウィングは1プレーンスウィングであるが、レイドオフにすることによってテークバックで通った軌道にクラブヘッドを戻すことがさらに容易になり、フェードボールが打ちやすくなったことで、ボールをコントロールしやすくなったという。レイドオフにすることで、結果としてトップがコンパクトになり、無駄な動きも抑えることができるようになり、ショットの正確性が増したという。クーチャーが今週しきりに「ボールを自分の思い通りにコントロールできている」「
いいゴルフができている」と言っているのも、このオコネルコーチの改造の成果が出ているからだ。

2000年にプロ入りしたクーチャーも、早40歳。ちょうどビジェイ・シンが世界ランク1位になり、1年で10勝近く挙げていた全盛期もちょうど40歳すぎからだ。クーチャー自身も

「ボクもビジェイのようになりたい。彼がいいお手本を作って見せてくれている。40歳になったら、もう終わり、ということではないし、今では何人もいい成績を挙げている人がいる。こうしていいスタートを切れて嬉しいよ」

と語っている。ゴルフはパワーだけでない。経験値やコースなどに対する知識もものをいう。もちろんパット力も大いに必要だ。40代でビジェイが大ブレークしたように、クーチャーの1年になる可能性も十分秘めている。

2017年の全英オープンではジョーダン・スピースとの優勝争いで惜しくも2位に甘んじメジャー優勝を逃した。クーチャーの息子たちが、寒々とした鉛色の空のもと、父親の敗北に涙を流して悔しがっていた光景を私は間近で見ていたが、今日はその光景とは打って変わり、ハワイの女神が空に美しい虹をかける演出で、彼らの優勝を明るく祝福していた。

今回54歳のシニアでありながら、7位タイに入賞し、ジョージア州シーアイランドではクーチャーとご近所同士のデービス・ラブⅢも、18番グリーン周りでクーチャーの優勝を祝福していたが、彼が全米プロで優勝した時もなんと偶然虹の空。ハワイが大好きだというクーチャーに勝利をもたらす女神がいるとしたら、きっとハワイの女神。彼がメジャーで優勝する時も、もしかしたらデービス・ラブの時のように虹を空にかけてくれるかもしれない。

HONMA

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