本間ゴルフと契約したジャスティン・ローズが、ファーマーズインシュランスオープンで圧巻の優勝は果たした。今大会不在だったエースキャディ、フルチャー氏への思いと、HONMAへの思いをコメントしたローズ。海外での取材経験豊富な元ゴルフ誌編集長がその様子を語る。

PGAツアー通算10勝目、生涯獲得賞金55億円超えを達成した

今年の1月1日から本間ゴルフと用品契約を締結したばかりの世界ランク1位のジャスティン・ローズが、ファーマーズインシュランスオープンで21アンダーのビッグスコアをマークし、PGAツアー通算10勝目を挙げた。

これはイギリス人選手では初の快挙であり、今回優勝賞金約1億4000万円ほど獲得したことでPGAツアーの生涯獲得賞金で50ミリオン(約55億円)超えを達成。実は偶然、最終組で共に回り2位に入賞したアダム・スコットも同様に50ミリオン超えを達成したのだった。プロ転向した頃からの親友であり、現在バハマに互いに居を構える二人だが、ゴルフのキャリアにおいてもシンクロする部分が多い、縁の深い二人である。

「スコッティ(アダム)は本当に調子良さそうだったし、極めていいスイングをしていた。今日のバック9のプレーはすばらしかったね。11、12、13番と惜しいパットを外していたが、1日そんな調子だったから焦ったよ。でも終わってみればそんな彼のプレーが今日のプレーをおもしろくしてくれた」

そして今回の優勝は、エースキャディであり、今大会不在だったマーク・フルチャーのものだと優勝会見で語った。

「今日はとても最高なことがたくさんあった1日だったし、いつもと違ってちょっと感傷的にもなった。今日の優勝は私のキャディのフーチ(フルチャー)のためのものだ。彼は心臓の手術を受け、今は自宅で今日のプレーを観ていたと思うが、実際にここでキャディをやるよりもずっと、(TVの前に)座って試合を見ているほうがタフだったんじゃないかな」

画像: リオ五輪での金メダル獲得、初のメジャー制覇などを支えたキャディに勝利を捧げた(写真はリオ五輪)

リオ五輪での金メダル獲得、初のメジャー制覇などを支えたキャディに勝利を捧げた(写真はリオ五輪)

今回、ローズのキャディを務めたギャロス・ロードは普段ヘンリク・ステンソンのエースキャディで、ローズの古女房役のフルチャーは心臓の手術をしたばかり。今後しばらくはバッグを担ぐことができない状態となっている。そんな彼を想い、最終18番でグリーンオンを果たして優勝を確信すると、彼はテレビカメラに向かって「フーチ、今回の優勝はキミに捧げるよ!」と語りかけた。

長年ローズの傍らで彼のプレーを見守り、全米オープンチャンピオン、オリンピックの金メダリスト、世界ランク1位としてのローズの活躍を後押ししてきたフルチャーとすれば、自身が不在のトーナメントで優勝となると、もちろん嬉しいことではあるが、正直自身が立ち会えなかった残念な気持ちもあるだろう。ローズはギャロスをキャディに従えながらも、心はフルチャーとともに戦い、彼の早い回復を心から祈ったはずである。彼の復帰は早くて6週間、遅くて3ヶ月かかるというが、マスターズには戻ってくると信じている。

そして前述のように、今月から本間ゴルフと用品契約を結び、クラブを使い始めたが、その話題にはアメリカ人記者たちからも「なぜ今、この時期にここまで劇的にチェンジするのか?」と質問が飛んだ。過去、歴史的に見ても道具を変えて失敗する選手も中にはいるが、そのことに関して何の心配もなかったのか、と。

画像: HONMAのドライバーに変えて驚くほど満足しているとローズはいう(写真は2019年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

HONMAのドライバーに変えて驚くほど満足しているとローズはいう(写真は2019年のファーマーズインシュランスオープン 撮影/有原裕晶)

「今も昔もブレードアイアンを使っていることには変わりないし、ほんの少しスチールや素材、ルックス、音、打感などのクオリティが良くなっているだけだ。パフォーマンス自体はさほど変わっているわけではない。今でもテーラーメイドのフェアウェイウッドを使っているが、ドライバーはHONMAに変えて驚くほど大満足している。長年テーラーメイドを使ってきたから他の会社のクラブを知らないということについては多少カケみたいなものだったかもしれないが、ボクはHONMAの開発者やチームを信じているし、彼らはボクのためにとても特別なクラブを作ってくれている。そして自分が納得するまで彼らはボクがクラブを使うのを待っていてくれるんだ」

「新しいクラブに変えたことは明らかに正しい選択だった。この先4~5年、ボクが使いたいと思うクラブをHONMAは作ってくれると思っている。ボクが使いたいと思っていたボールやウェッジ、パターを使わせてくれる柔軟な対応がHONMAにはあり、ありがたい。アクシス1というパターは以前から使いたいと思っていたが、契約上使えなかったパターだ。だがクラブを変えたから、こういうこともできるようになった。これは大きいよ」

画像: 本間ゴルフとの契約発表会は海外メディアからも大きな注目を集めた

本間ゴルフとの契約発表会は海外メディアからも大きな注目を集めた

ここ1~2週間でローズから直接クラブの話を聞くチャンスに何度か恵まれているが、彼はクラブを語るとき、必ずHONMAのクラフトマンたちの話をし、いかに信頼できるチームかについて触れる。今まで世界のトッププロたちにクラブの話を聞いても、その道具のパフォーマンスの良さについては語られるが、そのバックグラウンドにいるスタッフのことまで語る選手をあまり見たことがない。

そして「もし成績が悪いなら、それはボクのせいだよ」と彼は毎回言う。それだけHONMAを信頼し、細部に至るまで自分の希望通りに完璧にセットアップしてくれる日本人スタッフたちに満足をしている証拠だ。こんな話を世界ランク1位の口から直接聞くと、クラブ作りにまったく携わっていない私が言うのは非常におこがましいが、同じ日本人の私としてとても誇らしい気持ちになる。

実際、ブルックス・ケプカやポール・ケイシー、フランチェスコ・モリナリ、ブライソン・デシャンボーなど日本製のアイアンやシャフト、ボールを使う選手たちの話を聞くと、日本人のものづくりへのこだわりや精度について、きちんと認識し、他のメーカーの道具とは違う何かがあることを理解している人たちが多いことに気づく。世界に出ると、「メイド・イン・ジャパン」に対するリスペクトが高いことに改めて思い知らされることが多いが、そんな人たちが世界のツアーでも、そしてそれがトップランカーたちの間に特に多い傾向があるように思う。

ローズがこの先、世界ランク1位の座をキープし、メジャー優勝、そして東京オリンピックでの金メダル獲りなど、いくつか大きな目標に向かって気持ちを新たにスタートしているが、夢の実現に向けて選んだ道具が日本のブランドであることに日本人としては喜びを感じる。そして彼のバッグにカタカナで「ジャスティン・ローズ」と書かれた文字を見るたびに、イギリス人だが日本とともに頑張ってくれている感じがして、なんとなく嬉しい。

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