世界一観客が入るゴルフの大会、フェニックスオープンです。昨年は1週間の観客動員数71万9179人という新記録を樹立し、これで2015年から4年連続で記録を塗り替えています。
普段は何の変哲も無い160ヤード程の短い16番ホールはフェニックスオープンを知って訪れるゴルファーは「ここが本当にあのホールなの?」と拍子抜けするそうです。タイガー・ウッズが1997年にホールインワンしてからは観客席が年々大きくなり、今や300近いVIPルームを兼ね備えた2万人近くを収容する大スタジアムになりました。
1週間のためにこの仮設スタジアムを3カ月も前から建設し始め、終わるとまた壊してしまいます。ならば常設にすればいいのにと思いますが、常設にしてしまうと日が当たらなくなり、芝に強烈なダメージを与えてしまう恐れがあったり、また常設にすると適用される法律が変わってトイレやエレベーターを設置しないといけないという問題が発生するそうで、毎年あの巨大スタジアムを造っては壊すということをしているそうです。
試合会場はアリゾナ州のTPCスコッツデール。トム・ワイスコフが2014年に大改造を行いました。それ以前はマーク・カルカベッキアやフィル・ミケルソンが28アンダーという大会レコードを出しているように、バーディ合戦というイメージの大会でしたが、改造後は14アンダーから18アンダーの間に落ち着いています。
改造後2015年からの優勝者のスタッツを見てみると、ショットの中でもとくにアイアンを制した人が勝つというデータが出ています。ケプカも松山英樹もウッドランドもみな飛ばし屋ですが、昨年プレーオフに残ったC・リービーや松山選手とプレーオフをしたW・シンプソンなどは飛距離は下位の方でした。優勝争いに絡んだ選手はパーオン率やストロークゲインド・アプローチが上位という選手が多く、アイアン巧者が優勝争いに絡むという傾向です。
本命はPGAツアーのパワーランキングで堂々1位の松山英樹選手。初出場の2014年が4位タイ。2015年は2位タイ。2016・17年と連覇しています。昨年は手首を痛めて2ラウンドスタート前に棄権してしまいましたが、初日は69で回っています。
先週ファーマーズインシュアランスオープンでは3位タイに入り、パーオン率は全体の8位、SGアプローチザグリーン(ショットのスコアへの貢献度)が6位と本来の調子を取り戻しつつあるという数字を残しています。ドライバーの精度が先週ほど問われないコースで常にアイアンが安定している松山選手は先週の上位フィニッシュで流れも良く、今週も優勝争いを期待しています。
対抗はジャスティン・トーマス。2015年から5年連続5回目の出場になります。予選落ちが2回に17位タイが2回とあまり相性が良いとは言えませんが、今季のSGアプローチは現在1位、昨季は4位とアイアンの巧さはツアートップクラスです。マスターズに照準を合わせていてまだまだこの時期はトップギアに入れていない印象ですが、年が明けてから初戦マウイ島で3位、ソニーオープンでは16位タイと安定感のある好スタートを切っています。
ダークホースとしてテイラー・グーチを挙げます。オクラホマ州出身の27歳。昨季がルーキーシーズンでしたが、139位に終わり入れ替え戦も上手くいかなかったので、今季は126位から150位というカテゴリーで2年目を迎えました。
ここ2試合4位、3位タイと連続で優勝争いに加わりました。今週はもともと出場出来ない予定でしたが、先週のトップ10で出場権を得ました。ここ2試合ともSGアプローチはトップ10に入っていて、
今季で見るとトーマスに次いで2位と非常にアイアンが上手い選手だということがわかります。初めてのフェニックスオープンになりますが、今のアイアンの好調さやここ2試合でつかんだ自信と流れで今週は初出場になりますが期待しています。
有名な16番ホールでこれまでにホールインワンを決めた9名の名前が刻まれた新たな記念碑が今週お披露目されました。昨年36歳という若さで亡くなったジャロッド・ライルは2011年の第2ラウンドでホールインワンを達成しました。
新たに10人目のエース達成者が出るのか楽しみにしながらフェニックスオープン中継を見たいと思います。