サイドベンド(側屈)とは、わき腹を縮めて肩をタテに使う動きのこと。それに対して、アマチュアは、垂直の軸に対して体を左右に向けるような動きをイメージしている場合がほとんどで、目澤曰く、それでは不十分なのだという。
「回転には3つの要素があります。1つ目はアマチュアの方の多くがイメージする横向きの回転で、“ローテーション”と呼びます。これに加えて、体の前後の動きであるスラスト(伸展)、そして体を横向きに傾ける動き、サイドベンド(側屈)が入ってきます。実際にバックスウィングを上げていくときにはサイドベンド→スラスト→ローテーション→サイドベンド……という順番でそれぞれの方向への動きが加わることで、スウィングの回転が作られていきます。この動きができると、左肩は自然とボールの方向に向きます。これがいわゆる“体がしっかり回転している”という状態なんです」(目澤、以下同)
「サイドベンドはトップレベルの選手たちも取り入れています」。そういって目澤が見せてくれたのが、3Dモーションキャプチャーを用いたスウィング解析システム「GEARS(ギアーズ)」によってUSPGAツアーのトップ選手40人分のスウィングデータを収集し、その動きを平均化して作られた、ゴルフにおける“正しい体の動き”がフレーム単位でわかるモデルだ。
「まず、アドレスの肩のライン(画像A参照)を見ると、サイドベンドの角度がついているのがわかります。これはクラブをグリップする際に右手が下になるため、その分傾いているんですね。背骨も地面に対して若干右に傾いています」
ここから肩を水平にローテーションさせていくのではなく、左わきを縮めるように肩をタテに回転させていくのがサイドベンドの動きだ。結果、どうなるか。
「続けてトップ(画像B)を見てみると、このときすでに肩のラインは縦になっている(左肩が下がっている)のがわかります。腰回りを見てみると、右の腰が左側よりも高くなっていますよね。今までは『腰の高さを変えるな』っていうレッスンが多かったのですが、トッププロたちのスウィングを解析することで実は間違っていたということがわかったんです」
続いてダウンからインパクトにかけては、バックスウィングとは逆に、右わきを縮め、右肩を下げるような動きになる。
「インパクト(画像C)を見ると、アドレスで10度だった右肩の傾きが28度になっていて、右肩が横に倒れるような形になっています。アドレスではほぼレベル(水平)だった腰も右に傾いてきているのがわかります。PGAツアーのトップ選手が、ダウンスウィングでしっかりサイドベンドしているということですね」
多くのトッププロが取り入れているサイドベンド。アマチュアがいきなりスウィングを変えるのは難しいかもしれないが、「スタート前にストレッチをしながら動きを確認するだけでも効果はありますし、『上手い人ってこういう風に体が動いてるんだな』っていうのを体感するだけでも変わると思うので、ぜひやってみてください」と目澤。
できるかどうかは別として、まずはPGAツアー選手気分を味わってみては?