松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「トップ選手のアプローチ」について考えた。
画像: 低めに打ち出して、カップ周辺を狙う場合は、シャフトを傾けてダウンブローに当てるほうがよく、スピンもよくかかる。一方で、バンカー越えなど、上げなければいけない場合は、シャフトの傾きを抑えて、インパクトロフトを増やす打ち方になる(Photo/Tadashi Anezaki)

低めに打ち出して、カップ周辺を狙う場合は、シャフトを傾けてダウンブローに当てるほうがよく、スピンもよくかかる。一方で、バンカー越えなど、上げなければいけない場合は、シャフトの傾きを抑えて、インパクトロフトを増やす打ち方になる(Photo/Tadashi Anezaki)

シャフトを傾けるほうが、実はミスが少なくなる

D 過去2回は、ビクトール・ホブランのコーチ、ジョー・マヨのアプローチ理論についての話題でした。その中で前回、寄るアプローチには、シャフトを15度も傾けて、10度程度のかなり強いダウンブローで打つことが必要という話が出ましたが、これについてもう少し深掘りしたいと思います。

というのも、一般的にアプローチは、「ソールを滑らせて打つ」ほうがやさしくて、ダウンブローでクリーンにヒットするのは「難しい」、あるいは「ミスの許容範囲が狭い」ということになっていますよね。

目澤 その点について、マヨは何本も動画をアップしていて、シャフトを傾けて打つことや、ダウンブローに打つことが、ざっくりにつながるとか、ミスの許容範囲が狭くなるというのは「完全な誤解」だと繰り返し言っています。確かに、そもそも最下点で芝にやさしく触れるくらいのスウィングをしつつ、ホブランみたいに軸を左にずらして、最下点の手前でボールを打つのであれば、ダウンブローにはなりますが、あくまでも最下点に向かう途中で当たるだけなので、ザックリにはなりません。

D シャフトを傾けて打つほうが「やさしい」という根拠は何でしょうか。

目澤 ウェッジは、下から2〜3本目のスコアラインのところでヒットするのがいいとされていますが、シャフトを傾けるとそこに当てやすくなるのは間違いないです。マヨはスウィングの「高さ」(heig ht)と言っていますが、シャフトを傾けるほうが、より高い位置でスコアラインの2〜3本目に当てられる(ザックリのリスクが少ない)ので、むしろ「やさしい」ということですね。

D もうひとつ、マヨは、ソールが先に地面に触れるような打ち方が「よくない」と言っているわけじゃないですよね。状況によってはそういう打ち方も必要だと。

目澤 ロブとか、ボールを上げなきゃいけないときには、どうしてもソールが先に接地する打ち方になりますね。あくまでも、ダーツの矢を投げるみたいに、ピンポイントでカップ周辺を狙うには、打ち出し角を30度以下にしなきゃダメだということで、それには15度のシャフトの傾きと10度のダウンブローが必要ということです。

D 60度のウェッジを使うと、それでスピンロフトが55度になるから、スピンもMAXにかかると。ボールを上げる場合は、55度くらいのスピンロフトを維持したまま、ヒットポイントを最下点に近づけていくというイメージですか。

目澤 そうですね。打ち方は同じで、ボール位置を少しずつ左足寄りにしていけば、打ち出し角を上げられます。

D ただし、ソールが先に地面に当たるので、自分で「打ち込まない」ように注意が必要ですね。

目澤 インパクトで左手を少し上向きに引っ張ってやるとか、あるいは体全体で少し伸び上がってやるのがいいと、マヨは言っています。インパクトに向かって地面に近づいていくヘッドを、インパクト後は地面からなるべく早く遠ざけるということですね。

※週刊ゴルフダイジェスト「みんなのスウィング3.0 Vol7」より

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