勝はなし。タイガーが自身最長の未勝利街道を歩み続けるワケとは?
「コース自体は大好きなんだ。でもなぜか……」
復活イヤーとなった2018年も予選落ちを喫しているジェネシスオープン。舞台のリビエラはプロ初挑戦の思い出の舞台なのだが?
「コース自体は大好きなんだ。しっくり目に馴染むしレイアウトも素晴らしい。でもなぜか酷いプレーしかできない」とタイガー。
「簡単なことさ。いわゆる奇妙なできごとのひとつ。コースとしてはフェードヒッター向け。ほとんどのホールがゆるやかなフェードでソフトにグリーンを狙うことになる。昔もいまもそういうショットを打つのは大好きなのに、なぜか結果に結びつかなかった」
ボールの転がりがイレギュラーなポアナ芝のグリーンが鬼門なのか? いや全米オープンを含め8勝を挙げている得意なトリーパインサウスコースもリビエラと同じキクユ芝のフェアウェイとポアナのグリーンの組み合わせ。
とはいえ天候が悪いとさらに転がりが悪くなるグリーンと「好きなのに結果を出せない」状況に嫌気がさしたタイガーは06年に途中棄権して以来長らくスケジュールからジェネシスオープンを消してきた。
しかし昨年復帰したのは自らの財団が大会を主宰するようになったから(17年から)。20年には“タイガー招待”的な格上トーナメントに昇格することが決まっており、ジャック・ニクラスのメモリアル、アーノルド・パーマーのアーノルド・パーマー招待と並び優勝者に3年シードが与えられる。
幼少時代から慣れ親しんだ場所で自らの招待試合を開催するのは名誉なことだが、皮肉にもそれが一度も勝ったことがないリビエラでの一戦となるとは……。
では今後タイガーが未勝利ロードに終止符を打つ日はくるのか? もちろん可能性はある。ことに現在絶好調、5歳年上のライバル、フィル・ミケルソンの活躍に大きな刺激を受けていることを認めているタイガー。かつては犬猿の仲といわれお互いの活躍に無関心を装った2人だが最近は素直にお互いの存在を認め合っている。ライバルから受ける刺激は我々の想像以上に勝利への特効薬になるはずだ。
余談だがタイガーとブライソン・デシャンボーが出演しているブリヂストンのニューボールe12のC
Mが面白い。
マッドサイエンティストことデシャンボーがボールの性能を科学的に分析した図式を黒板にしたためつつ熱弁をふるうのだが、彼の講義(?)を「ワケがわからない」という風情でさも退屈そうに聞き「つまりそれは飛ぶってこと?」と要約するタイガー。「だからそれをいま僕がいってたじゃない」
と構わず講義を進めるデシャンボー。
2人の軽妙なやりとりが実に愉快なのだ。ブリヂストンは過去にも契約選手総動員(トレビノ、カプルス、クーチャー、ポーラ・クリーマーなどなど)でボール工場の作業工程をコミカルに描いたCMを製作している。プロが球を打ち「飛びます」とナレーションが流れるようなCMとは一線を画す笑いのセンスが光るCMは必見だ。