ピンを抜かないパッティングは「まるでピンを狙うゲームのよう」
大掛かりなルール改正が2019年の1月1日に施行された。あちこちで物議をかもす新ルールについて、スコットがニューヨークタイムズのインタビューで忌憚のない持論を展開した。
「マスコミが不必要なグレーゾーンばかりを書きたてている」とした上で、注目が集まるピンを抜かずにパッティングしてもよくなったことに関し「正直、ゴルフの本質を変えるようなルールだと思っている」とスコット。
「まるでピンを狙うゲームのようでカップに対してパットをするという意識を忘れさせる。頭のなかのスピード感が狂わされるというか、グリーンを読むことさえ疎かになってしまう」
これまではブライソン・デシャンボーがピンを抜いた方が有利か不利かを「ピンの摩擦係数によって考える」といった発言に注目が集まったが、スコットはゴルフのあるべき姿にこだわりゲームの本質
の変化を憂いているのだ。
「ゴルフルールは歴史のなかでそう大きくは変わってこなった。それがある日変わったと思ったら次の週にはまたそれが変わっている」
スコットが「次の週には変わっている」といったのはウェイストマネジメントフェニックスオープンでの一件。
デニー・マッカーシーのキャディが選手のスタンス中にターゲットとボールの後方線上に立ってはいけないという新ルールに抵触したとして2打罰を科されたが、翌日にそれが取り消されるという珍事
があった。当然競技委員の対応に疑問と批判が集まった。
これは取りもなおさず新ルールの定義が曖昧であること、そして解釈が不十分であることに問題がある。そのことでツアーが混乱し巻き起こる数々のできごとは「ゴルフ全体の印象を悪くする」とスコット。
「個人的な意見だがツアーが笑いものになっている気がする」
そもそもルールの改定はプレーファストを促しゲームをシンプルにするために行われた。ところがヒザからのドロップを含め疑問や批判が噴出し「混乱状態に陥ってしまった」とスコットは大いに嘆く。
大昔から綿々と受け継がれてきたゴルフというゲーム。改定したばかりのルールをすぐ元に戻すことはできない。今後ゴルフ界はどんな未来を選択するのか? 過去と未来から問われているような気がする。