標高2300メートルの高地で行われたWGC-メキシコ選手権はダスティン・ジョンソンがローリー・マキロイに5打差をつけツアー通算20勝目を挙げ幕を閉じた。そんななか大会2日目、リッキー・ファウラーが新ルールの“餌食”になってしまった。

シャンクでOBの上、ペナルティまで課された

この日10番からスタートしたファウラーは出だしのホールのセカンドショットをシャンクし、OBとしてしまう。必然的にドロップすることになるのだが本能的に彼は肩の高さからボールをドロップ。そのまま次のショットに臨み、グリーンに乗せ2パットのダブルボギーでホールアウトした。

画像: セカンドをシャンクし、本能的に“肩から”ドロップした結果、1打罰に(写真は2019年のウェイストマネジメントフェニックスオープン 撮影/姉崎正)

セカンドをシャンクし、本能的に“肩から”ドロップした結果、1打罰に(写真は2019年のウェイストマネジメントフェニックスオープン 撮影/姉崎正)

その時点で彼は自分のミスにはまったく気づいていなかった。しかし新ルールでは肩ではなく膝の高さからのドロップを義務づけている。肩からドロップしても球を打つ前に膝からドロップし直せば無罰だが、そのままプレーを続行すると1打罰になる。

グリーンに上がったところで同伴プレーヤーのパトリック・リードからファウラーはルール違反に当たるかもしれない由の指摘を受ける。

「自分が肩からドロップしたことを誰かが彼(リード)に伝え、それを自分に伝えてくれた。“その通り。肩からドロップしましたよ”というのが僕の正直な感想。完全に無意識だった。その時点ではどうしようもなかった。ゴルフをはじめてからずっとそのスタイルでドロップしてきたからね。でももちろんルール違反はルール違反」

ラウンド後、苦笑を浮かべながらこう語ったファウラー。結果10番のスコアはトリプルボギーの『7』となり最終的に36位タイで4日間の戦いを終えた。

つい先日アダム・スコットが新ルールについて「ゴルフ界が笑いものになっている」と辛辣な指摘をしたばかり。肩からドロップしたほうが有利ならともかくむしろ膝の高さからより不利なのにペナルティを科すのは「納得がいかない」という声が聞こえてくる。

今年の1月1日に施行された新ルールについてファウラーはシーズン序盤「慎重にプレーするように気をつけた」というが、WGC-メキシコ選手権の2日目は出だしでいきなりシャンクのミスが出たため頭に血が上ってしまったのかもしれない。相棒のキャディがドロップシーンを見る暇がないほどあっという間のできごとだった。

ドロップの処置を間違えてペナルティを科せられたのは今季ファウラーが2例目。迅速なプレーを促しゲームをよりシンプルにしてゴルフの裾野を広げるべく採用された新ルールではあるのだが……。

「長い歴史のなかでゴルフルールはそう変わってこなかった。それなのに今回の改定でゴルフ界は混乱状態に陥ってしまった」というスコットの言葉が重く響くファウラーの一件だった。

*2019年2月25日12時43分 文章を一部修正いたしました

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