ドライバーはプロが使うがアイアンはアマチュア向け
テーラーメイドといえばルール内最大級の反発を実現した「M5/M6」ドライバーが人気。ダスティン・ジョンソン、ロリー・マキロイ、タイガー・ウッズらの使用モデルでもあり、アマチュアゴルファーからも早くも大人気となっている。
その一方で同じく発表された「M5/M6」アイアンを使用するプロは見かけない。これは「M5/M6アイアンは、プロモデルではなく、アマチュア向けのやさしいアイアンだからです」とプロゴルファー・中村修は言う。
「最近、海外のトッププロの間ではドライバーはやさしく、アイアンはシャープな形状を選ぶのがトレンドですが、M5/M6アイアンはソールの厚さからも分かる通りやさしさや飛距離を重視したモデル。操作性やライへの対応、正確な距離の打ち分けを重視するプロは採用することが少ないんです」(中村)
ということは逆に言えば、やさしくて飛ばせる、アマチュアにオススメできるアイアンということになる。そこで今回はテーラーメイド「M5/M6」アイアン、そしてツアーモデルながらやさしさを併せ持つ「P760」を加えた3モデルをプロゴルファー・中村修とノリーこと堀口宜篤の二人が試打。
番手は7番、シャフトはP760がNSプロ モーダス3 ツアー105のS、M5がNSプロ930GHのS、M6が軽量スチールのリアックス85のRをそれぞれ使用した。
ツアーモデルだけどやさしさも感じる「P760」
まずはツアーモデルのP760から見ていこう。ツアーモデルといえば操作性が高く、使いこなせるなら頼もしいがそのぶんシビアという印象。しかし実際に試打した堀口はP760に「やさしさを感じた」という。
「打感が気持ちいいですね、吸い付いてる感じもします。でもプロモデルと言う割には、やさしさを感じますね。すごくシビアというほどでもないです。コントロールもしやすそうですね」(堀口)
ヘッドスピード38.3m/sで総飛距離は182ヤード。打ち出し角は18.3度とかなり高めでスピン量は5170回転。
続いてP760を構えた中村は、堀口が感じたやさしさの正体を見抜いた。
「構えたときにリーディングエッジがストレートに見えます。トップブレードが少し厚いのでやさしさを感じますね」(中村)
中村は総飛距離163ヤード飛ばす(ヘッドスピード35.4m/s)。これは、中村が普段使う7番と距離的にはほぼ同じ。堀口の試打結果と同様に打ち出し角は18.2度とかなり高く、スピン量は5884回転。
「弾道の高さと打感の柔らかさ、やはりこの辺りはプロモデルという感じですね」(中村)
オートマチックに飛ばせる「M5」
続いて打つM5のロフト角は30度。先ほどのP760が33度なので、ストロングロフト化して飛距離を意識した“飛び系”の部類に入るアイアンだ。堀口はトータル200ヤードを叩き出し、“飛ばし力”を実感。
「トータル200ヤード、飛びますね。最近の飛び系アイアンなんですが、弾き感はあるものの手にはちゃんと感触が残っている感じがあります」(堀口)
中村は真っすぐの球筋で179ヤード飛ばした(ヘッドスピード35.0m/s)。打ち出し角は18.5度とかなり高く、スピン量は4630回転。
「高さが出て直進性が強くて180ヤード飛んじゃうんなら、もう自分もコレでいいんじゃないかなと思っちゃいますよね(笑)。ロフト30度ということもあり、7番ながら飛距離的には6番アイアンと同じくらいといった感じです。構えたときのフェースの長さや高さからも、ダウンブローでシビアに打たなければいけないという感じはしないですね」(中村)
最近の飛び系アイアンの多くに言えることだが、1番手分飛んで、上がりやすさは番手なり。ただしスピンはやや少ないといったところの試打結果だ。いまどきの基準でいえば「マイルド飛び系」といったところか。
しっかりつかまる「M6」
最後はM6。M5と同じく飛び系アイアンだが、M6はよりつかまりを重視した設計となっていることに加え、ロフト角も28.5度とM5よりもさらに立っている。市場でもっともロフトが立っているのが7番で25〜26度なので、もっとも極端なロフトではないが、間違いなく飛び系に分類できる。
M6を構えた堀口は、M5とは見た目の印象が大きく違うという。
「構えたときの顔が全然違います。M5はスッキリしているんですが、M6は少しオフセットが入っていてアップライトめ。見た目からつかまりやすそうですね」(堀口)
堀口はそのまま209ヤード飛ばす(ヘッドスピード39.2m/s)。堀口にはつかまりすぎたのか、落下地点はセンターよりもやや左寄り。打ち出し角は16度、スピン量は4199回転という結果だ。
「つかまりますね。M6はこれぞ飛び系って感じですけど、それにしてはボールも上がりますね。少し逃して打ってもしっかりつかまえてくれます」(堀口)
続けてM6を打った中村はど真っすぐの球筋でトータル181ヤード飛ばす(ヘッドスピード34.8m/s)。打ち出し角は16.4度、スピン量は4740回転となった。
「直進性が強い。多少ソールが滑ってくれる感じがありますね。そのぶん芝の上だと抵抗を感じることもあるのでラフから打つときには一番手落とす、といった対応も必要かもしれません」(中村)
3モデルの特徴をまとめると、ツアーモデルながらもやさしさも入っているのがP760、オートマチックでやさしく飛ばすM5と、さらに飛んでつかまるM6、といったところ。ではこの3モデル、それぞれどんなゴルファーにオススメなのだろうか。
「ある程度アバウトな感じでもボールを上げてくれるのがM5、M6ですよね。しかしミスを軽減してくれるぶん、フェースのどこに当たっているかなどがわかりにくい。その点で言えばP760は自分で弾道をコントロールしながら打ちたいという方にはオススメです」(中村)
協力/PGST