メジャー級の難度を誇るPGAナショナル(フロリダ州)を舞台に熱戦を繰り広げたザ・ホンダ・
クラシックはツアー2年目のキース・ミッチェルが混戦を抜け出し初優勝。今回は1打差の2位タイに入ったブルックス・ケプカにスポットを当てる。

「バスケットボールの選手は自分の考えを言葉にして発信している」

寡黙な職人といった雰囲気を醸し出すケプカだが最近はツアーで問題になっているスロープレーについて「恥ずかしい」と発言したり、セルヒオ・ガルシアが欧州ツアーでプレー中感情的になってグリーンやバンカーを破壊した件について「まるで子供」と率直な感想を口にするようになった。

「以前は自分が常に正しい側にいなくちゃいけないと思っていたんだ。なにか発言することで問題を大きくしたりこじれさせたくなかった。でも最近は選手としてある程度確立してきたという自覚がある。自分の気持ちを言葉にすべきだと思えるようになった」とゴルフドットコムのインタビューで心境の変化を語ったケプカ。

転機となったのはNBA(バスケットボール)、ミルウォーキー・バックスのスター選手ヤニス・アデトクンポとの出会いだ。NBAの大ファンであるケプカは今年1月チームのエースと念願叶って初対面。

「バスケットボールの選手は自分の考えを言葉にして発信している。それが社会問題であれチームの課題であれ包み隠さず思いの丈を述べている。正しいと思うことははっきりというべきだと改めて感じさせられた」

スロープレーを「恥ずかしい」、ガルシアを「まるで子供」と発言したのもバスケットボール界から学んだ姿勢のひとつ。

画像: NBAアデトクンポ選手と初対面したケプカ(写真はGetty Images)

NBAアデトクンポ選手と初対面したケプカ(写真はGetty Images)

ちなみにアデトクンポ選手の身長は211センチ。180センチ以上あり「自分はいままで小さいと思ったことはない」というケプカだが2人で並ぶと肩までしか届いていない。「こんな体験人生初」と笑顔で収まったツーショットはケプカにとって宝物だ。

そんな彼が目指すのは「キャリアグランドスラム」だ。昨年は左手首のケガで4カ月間戦線離脱しマスターズにも出場できなかった。だが今年は「優勝を狙う」と全米オープン(2勝)、全米プロ(1勝)に次ぐメジャー4勝目に照準を合わせる。

「オーガスタでは3年前21位、2年前が11位だから今年は1位の番なんだ」とグリーンジャケット獲得に意欲を見せる28歳。“言葉を持った”ケプカがどんなプレー、どんな発言を繰り出すかメジャー初戦が楽しみだ。

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