女子ツアーの開幕戦「ダイキンオーキッドレディス」で優勝した比嘉真美子。7打差をもって最終日を迎えたものの、スコアを落とす苦しい展開。そんな中放った17番ホールのドライバーショットは圧巻の一言だった。飛んで曲がらないそのスウィングを、プロゴルファー・中村修が解説。

踏み込んだ左足をインパクトで伸ばす!

タフなコンディションの開幕戦を制した比嘉真美子。とくに天候の荒れた3日目は出場選手中アンダーパー二人のうちの一人(もう一人は山内日菜子)となり、悪条件でも安定したゴルフができることを開幕戦から示しました。

画像: パーオン率も66%と高水準。見事なドライバーショットで勝利をつかんだ

パーオン率も66%と高水準。見事なドライバーショットで勝利をつかんだ

オフに契約先のピンの米国本社でフィッティングし、選んだというパターのおかげもあってパッティングも4日間を通して素晴らしかった(平均パット数全体1位)のですが、彼女の持ち味は何といっても躊躇なく振り切るドライバーショットでしょう。

平均飛距離もトップの葭葉ルミに約3ヤード差の254.375ヤードで2位と十分。とくに、最終日の15番と16番を連続ボギーとして迎えた17番、後続に迫られ、プレッシャーのかかった中放ったドライバーショットは見事でした。右からの風の中、合わせることなくしっかりと振り抜きフェアウェイをとらえ、バーディにつなげて試合を決めました。

スウィングを見てみましょう。ポイントは二つ。一つは切り返しで左肩とあごが離れていく点です。手元と体の間隔をキープしながらテークバックし、トップではしっかりと体がねじられています。そして下半身のリードで切り返し、回転し始めるとバックスウィングであごに近づいた左肩が切り返し以降は離れていきます。

画像: 深い捻転により左肩とあごがトップでは密着している(写真左)が、切り返しでは下半身リードにより離れている(写真右)

深い捻転により左肩とあごがトップでは密着している(写真左)が、切り返しでは下半身リードにより離れている(写真右)

切り返しから素早く回転することを意識しすぎ、左肩とあごがくっついたまま回転してしまうと、どうしてもカット軌道になりやすい。下半身のリードにより左肩とあごが離れていくことで上体が突っ込まずにビハインド・ザ・ボールを作りクラブはインサイドからボールに向かう軌道を描きます。

もう一つのポイントはインパクト前後の左足を伸ばす動きです。写真を比べてみると、下半身のリードで切り返したあと、ハーフウェイダウン(ダウンスウィングで地面とクラブが平行になる位置)からインパクトにかけて左足を伸ばす動きが見てとれます。

切り返しで踏み込んだ左足を伸ばすことで回転力を生み、クラブを加速させているのです。

画像: ダウンスウィングでしっかりと地面を踏み込み(写真左)、インパクトでは一気に伸ばすことで回転力を生んでいる(写真右)

ダウンスウィングでしっかりと地面を踏み込み(写真左)、インパクトでは一気に伸ばすことで回転力を生んでいる(写真右)

今季はコーチの契約は解消していますが、昨季まで辻村明志コーチと作り上げてきたスウィングは盤石なようです。だからこそ、勝負どころの狭いホールでもしっかりと振り抜き、正確性を犠牲にすることなく思い切って飛ばせるのでしょう。

昨年は獲得賞金も1億円を越え自己最高の4位にランクインでしたが、今季はそれを上回り、賞金女王の本命にもなる活躍が、大いに期待できそうです。

撮影/姉崎正

This article is a sponsored article by
''.