お金がかかってるだけある!? シャフトが勝手にヘッドスピードを上げてくれる
ソールは金ピカ、クラウンは漆のような深みのある赤で、まるで工芸品のような装い……だが、それにしても23万は決して安い金額ではない。いったいなぜこんなに高いのか。事前にこのクラブについて調べたプロゴルファー・中村修は、「その大きな理由はオリジナルシャフト『MAJESTY LV730』にある」という。
「通常、カーボンシャフトは樹脂と炭素繊維(カーボン)を合わせて作られるんですが、マジェスティのシャフトは樹脂の比率がとても少ない、つまりカーボンをふんだんに使用しているらしいんです。47インチの長尺仕様ですが、重量はSシャフトで41グラムと超軽量です」(中村)
一方、ヘッドは「構えてみると奇をてらっていない、非常にオーソドックスな感じの見た目」だと中村。
普段はヘッドスピード47m/s前後でフェードヒッターの中村が、ヘッドスピードを40m/s程度に抑えて打つと、直進性のある高弾道でトータル239ヤード飛んだ。ボール初速は59.2m/s。打ち出し角14.4度と高弾道で、スピン量は2733回転という結果に。
「ヘッドスピード40m/sで打っても高さ・飛距離は十分出ます。楽にヘッドスピードが出るので、ちょっと振ると(ヘッドスピードが)出過ぎちゃうくらいです。お金がかかっているだけあって、シャフトのしなり感、走り感はかなりのものです」(中村)
もう一人の試打者で、普段はヘッドスピード50m/s前後のドローヒッターである堀口も、マジェスティ プレステジオ テンを手に取る。
「47インチですが、軽いですね。見た目はアップライトでつかまりそうなイメージです。見た目がめちゃくちゃ綺麗ですね(笑)」(堀口)
堀口は「かなり抑えめに振った」といいながらも、トータル281ヤード。ヘッドスピードは46.1m/s、ボール初速は66.7m/s。打ち出し角は12.5度で、スピン量は1579回転という結果に。
「サクっと振ってヘッドスピード46.1m/s。シャフトの長さと軽さで、勝手にヘッドスピードが上がりますね。弾いてくれるし、軽いんですけど振り抜きもいいです。この軽さでこれだけしっかり感があるシャフトって、なかなかないですね」(堀口)
中村いわく、総重量260グラムと超軽量ながら、47インチのSシャフトには不思議なほど頼りなさがなく、仮にハードヒッターが使っても使えないことはないという。ただ、もちろんヘッドスピードが38〜40m/sくらいの人が使った場合に、もっともポテンシャルを発揮しそうだと分析した。
「素材や製法、仕上げにお金をかけている一方、最近のクラブに多い可変ウェートやネック調整機能はありません。オーソドックスなものをひたすら磨き上げたという印象です。調整機能が必要ないと考える日本人ゴルファーは多いと聞くので、それらが要らない人にはむしろシンプルでいいですよね」(中村)
調整機能はないが、ロフト角は9.5度から12.5度まで選べるし、シャフトは今回試打したSシャフトからR2フレックスまで選べる。
「組み合わせによってつかまり方や球の上がり方をある程度変えられますね」(堀口)
せっかく23万円するドライバーを買うのだから、購入前にはしっかりと試打をして、最適なスペックを選ぶのが吉だ。
協力/PGST