高弾道と飛距離を両立したG410 アイアン
比嘉真美子、鈴木愛のふたりが使うアイアンはともに「i210」。プロの場合、アイアンはコントロール性を重視する傾向にあるので、いわゆる“やさしい“モデルは使わないことが多い。G410アイアンはどんなクラブなのかが気になるところだ。
そこで「G410 アイアン」と、アイアン型のユーテリティ(以下UT)「G410 クロスオーバー」の2モデルをプロ二人が試打。その性能を確かめた。番手、使用シャフトはG410 アイアンが7番、NSプロ モーダス3 ツアー105(スチール)のSフレックス、G410 クロスオーバーが4番、ALTA JCB RED(カーボン)のSフレックスを使用した。
とくに日本市場ではミズノの「ミズノプロ 」に代表されるようなフォージド(鍛造)アイアンが人気だが、ピンの場合は昔からステンレス鋳造方式を採用している。鍛造と比べて、ライ角などの調整が難しいため、数多くのライ角を取り揃えて、自分に合うものを選べるのがピンの特徴だ(ただ、今回使用したのは試打クラブのため、試打者にピッタリ合わせているわけではない)。
まずはG410 アイアンから見ていこう。前モデルよりシャープな形状へと進化し、重量配分の最適化で上下左右のMOI(慣性モーメント)が約14%拡大したという。7番アイアンのロフト角は30度。ゼクシオ テンの7番のロフト角が29度なので、今の日本の基準だとマイルドな飛び系という感じになる。オーソドックスなロフト設定に対して、1番手分立っているというイメージだ。
試打した中村はいう。
「曲がりの幅も少なく、やさしくてしっかり飛ぶアイアンです。トウ側にもウェートが入っていて、フェースを返して打つというより、直線的に打っていくタイプですね。深いアンダーカットキャビティによって重心も深いし、より球も上がりやすくなっています」(中村)
総飛距離は171ヤード。打ち出し角は17.5度と高弾道、ヘッドスピード34.7m/sに対しボール初速は49.8m/sで、スピン量は5023回転という結果に。中村の普段の7番の飛距離が163ヤードなので、やはり1番手分ほど飛んでいることがわかる。
続いてG410 アイアンを手にした堀口は、トータル189ヤード飛ばす。ヘッドスピード37.4m/sに対しボール初速は53.7m/s、スピン量は4743回転だった。打ち出し角は19.5度と高弾道で、これには堀口も驚く。
「ここまで高く上がってこの距離が出るのはすごい。そんなに弾く感じはなくて、むしろ吸い付いてくる感じのほうが強いです。ダフっても曲がらないし飛距離も落ちないので、振ったら振ったぶん飛距離が出そうです」(堀口)
4743回転は7番のスピン量としてはやや低スピン。それだけに“飛ぶ弾道”になっている。アイアンにもある程度飛びがほしい。でも、飛びすぎてほしくはない。それと、上がらないのは困る。あっ、ミスにも強いほうがいいな。そんなワガママなゴルファーにはピンポイントで刺さりそう。
見た目は「もはやアイアン」なUT。G410 クロスオーバー
G410 クロスオーバーは前モデルと比べてさらにアイアンに近い形状に進化。前作よりもシャープになりソール幅が狭くなったぶん、トウ側に前作よりも1.5倍重くなったタングステンウェートを搭載することで高慣性モーメントを維持している。
実際に構えてみると「見た目に関してはもうアイアンですねこれ」と堀口。計測結果はトータル235ヤード。打ち出し角15.3度、ヘッドスピード41.9m/sに対しボール初速は60.2m/s、スピン量は3416回転となった。これはさすがにちょっと飛びすぎだ。
「弾きますね。初速がかなり高くて、かといってボールが上がらない感じもしない。上げようと思ったら上げられそうな感じはしますね。アイアンが得意な人なんかは、タイトなホールはコレで十分打っていけると思います」(堀口)
続く中村も、UTというより「やさしいロングアイアン」という印象を抱いたという。
「飛距離的には昔の2番アイアンくらいのイメージですね。同じ距離を2番アイアンで打つのにと比べてはるかにやさしく打てる。中空になっていて、弾き感がすごく強いです」(中村)
中村はトータル196ヤード。打ち出し角は14.3度、ヘッドスピード38.8m/sに対しボール初速54.2m/s、スピン量は4328回転という結果だった。
ではそれぞれ、どんなゴルファーにオススメだろうか。
「ボールがスライス回転していく人とか上手く打ち込めない人にはG410 アイアンはオススメです。すごくやさしくて簡単に飛んでいきますよ。G410 クロスオーバーはパワーやミート率がある程度必要になってくるので、ウッド類よりもアイアンのほうが得意な中・上級者にとって非常に武器になる一本です」(堀口)
ただしどちらのモデルも「フェースのどの辺りに当たったのかは感じにくいですね。大体この辺に当たればOKといった感じです」と中村。プロたちが使用しないことからもわかるように、打感やコントロール性を追求するならば他のアイアンが選択肢になるが、そうでないなら有力候補といったところか。
協力/PGST
*2019年3月27日12時25分 文章を一部修正いたしました