帽子のつばが左右に向く回転重視スウィング
現在ツアーでバーディ率1位の河本選手。パーオン率10位、平均パット数で3位というスタッツからは、セカンドショットである程度以上ピンに絡むショットが打てていることをうかがわせます。そんな攻撃力の高いゴルフを支えるスウィングは、いかなるものでしょうか。
グリップはややフックグリップで、フェースを開かずにクラブを上げるシャットフェース。トップではフェースが空を向き、ボールをつかまえられる準備が整っています。
アドレスからトップまでで注目してもらいたいのは、帽子のつばの向き(写真A)。アドレスの時よりも、トップでは右足のほうを向いています。スウィング中に目線(顔の向き)を固定しないことで、バックスウィングの回転を邪魔せず、自然な動きになっています。
トップで肩は深く入っていますが、ひざはあまり動いていません。目線を固定して強くねじるのとは違う、スムーズな動きです。
ダウンスウィングからフォローにかけてを見てみると、帽子のつばの動きがより顕著に見えます(写真B)。同じ愛媛県出身の松山英樹のようにインパクトで顔を右に向けるようには使わずに、フォロー方向への体の回転とともに帽子のつばの向きもどんどん回転していきます。
トップでフェースを空に向け、ボールをつかまえる準備をしておき、そのまま積極的に体の回転を使って打つタイプのスウィングは、ダスティン・ジョンソン、ロリー・マキロイ、最近ではタイガー・ウッズやジャスティン・ローズらも採り入れる今どきのスウィング。
このタイプのスウィングのメリットは体への負担が少ないこととしっかり振り抜けることがあげられます。フェード系の球筋になることもメリットと言えるかもしれません。ギアの進化によりボールのスピン量が少なくなってきたことでフェードでも飛ばせるようになってきたこと、アプローチからドライバーまでスウィングに一貫性を持たせられることなどもメリットと言えるでしょう。
少し前の選手でいえばデビッド・デュバルやアニカ・ソレンスタムなど名プレーヤーにも見られるスウィングタイプと言えます。当時は“ルックアップ打法”なんて呼ばれていましたよね。
アマチュアゴルファーのみなさんが河本選手のスウィングを参考にするとしたら、まずはグリップからです。アドレスで左手のナックルが3つ見えるくらいのストロンググリップで、右手もやや下から握ります。その状態でフェースを開かずに上げていきますが、インパクトで手首を使ってフェースを返す動作をしてしまうと左にひっかかりますので、体の回転を先行させてリリースしないくらいの意識で振ってみましょう。まずは短いクラブのハーフショットから試してみると感覚をつかみやすいと思います。
彼女が掲げる目標は“3年後には全米女子オープンで優勝すること”。昨年は4勝してステップ賞金女王となり、今年ははやくもツアー初優勝と、世界の舞台へ向けて着実に前進しています。河本選手も1998年生まれのいわゆる“黄金世代”。またこの世代からツアーを盛り上げる選手が現れました。今後の活躍にも大いに期待したいです。