男子ツアーで活躍する時松隆光が幼少期から師事する「桜美式」ゴルフの提唱者・篠塚武久は、アプローチに「上げて寄せる」という意識は要らないという。自身の著書「10本で握る テンフィンガースウィング」よりアプローチのコツを紹介。
「上げて寄せる」イメージは必要ない
「桜美式」では、アプローチもパッティングと同じでいいと教えます。アプローチとパッティングの違いは、グリーン上に球があるかないか、そして球が宙に浮くか浮かないか、ただそれだけ。打ち方自体は、「ロングパットの、さらに距離が長くなったのがアプローチなんだ」と。
「アプローチはロングパットの要領」とはいえ、グリーンから少し離れたボールを上げる状況では、どうすればいいしょうか。
たとえばバンカー越えのようなケースであっても、「上げて寄せる」という意識は要りません。クラブで「打つ」のでも「上げる」のでもなく、手でボールを「投げる」アプローチだからです。右手で球を持ち、下手投げで、低い位置から投げてカップに寄せるイメージを持つ。できるだけ球が宙に浮いている時間を少なくし、早めに着地させ、やはり「転がして入れる」ことを重視するだけです。
それができたら苦労しないと反論したい方もいるでしょう。でもそれは、左手重視で打ってきたから思うことで、右手重視なら話が違います。下手投げの要領で、という「ボールを上げる」打ち方は誰もができるようになるんです。
練習で、15ヤードくらいからこの打ち方を繰り返し打って、慣れてきたらと30ヤードでも50ヤードでも、寄せることができるようになります。 右手の手のひらで投げて寄せる感覚を生かせば、失敗を激減させることができます。自然でシンプルで簡単だということは、誰もが楽しめるということでもあります。
「10本で握る テンフィンガースウィング」(ゴルフダイジェスト社)より
撮影/浅田紀元