呼び込み動作を一身につける
いい歩き方ができる人は、スウィングもいい。バーディを取ったときのように、気持ちのいい颯爽とした歩き方が、理想的といえます。
自分自身でいい歩き方をしているかどうかわからない場合は、「動く歩道」 を歩いているような感覚になっているかをチェックしてみてください。自分の足で蹴って前に進むというより、自分はそこで待っていて、目標が勝手に来てくれるような感覚です。
動く歩道を歩くと、2、3歩進んだくらいのところでも、すでに5、6歩進んだかのような腰の乗り、スピード感が感じ取れる。そのときに周りの景色がまるで向こうから来るような感じを味わえれば、これは流れを呼び込む動きができていて、心も先を読める状態にあるともいえます。
ボールを呼び込めば腰の乗ったスウィングができる
野球にたとえれば、ピッチャーが投げる球に、打者が150キロで動いて向かっていったら、とても怖くて打てません。車も同じで、150キロのスピードを出して、運転者が景色の中に突っ込んでいくとすごい恐怖感があります。しかし、景色が向こうからどんどん近づいてくる感覚をつかめれば、あまり怖くないものです。
これを私は「呼び込み動作」といっています。野球でもよくいいますが、打ちにいくのではなく、ボールを呼び込むのです。ゴルフでも、ボールに対して自分から打ちに行ってしまうとスウィングができず、当ててしまうだけになっ てしまいます。呼び込み動作が出来ると、腰の乗ったスウィングでボールを打つことができます。
ただし、野球をはじめ、他の動的スポーツと違って、ゴルフはボールが止まっているので、呼び込むためには、自分でタイミングを作らなくてはなりません。それが体重移動です。重力を生かして、自分のタイミングを作るのです。
そのときに忘れてはならないのが、動く歩道を歩いているかのような感覚です。「腰が乗った歩き」というのが、「腰が乗ったアドレス」「腰が乗ったスウィング」につながります。腰が乗った歩きの感覚のままでアドレスできれば、 体重移動でボールを呼び込むタイミングを作れるようになるのです。
「これでいいの?これだけで飛ぶの?」(ゴルフダイジェスト新書)より
撮影/小林司