今年初めて開催されたオーガスタ女子アマ。そこに日本人としてただ一人出場していた安田祐香は、優勝こそ逃したものの、3位タイと大健闘。そのスウィングを、現地オーガスタから吉田洋一郎が解説する
海外選手と同じかそれ以上に飛ぶ
安田さんは、それほど体が大きくないにもかかわらず、海外の選手と同じか、それ以上の飛距離を出します。その要因は、クラブヘッドの走らせ方がとても上手だからです。体格のいい海外の選手と比べるとよりわかるのですが、海外選手は体を大きく使い、クラブを加速させて打つというよりも、自身のパワーでスウィングしている印象です。
対して安田さんは、体をアグレッシブに使うというよりは、クラブを適切なポジションに置き、ダウンからインパクトにかけてプレーンを上手くなぞって、一気に解放してヘッドを走らせています。
そして、彼女の最大の特徴はスウィングリズムです。宮里藍選手を思い出すようなゆったりとしたリズムでクラブを上げていきます。ゆっくり上げることで、トップでしっかり体重が乗った状態が作りやすくなり、自身のパワー以上のものをボールに伝えています。リズムが速いと、パワーが溜まる前に切り返してしまいやすくなるので、そのあたりのミスを防ぐ効果もあります。
ゆっくりリズムで振る選手は他にもたくさんいますが、安田さんの凄みはそれがドライバーからパットまですべて同じリズムで振れていることです。同じリズムで振れることで、「ドライバーはいいけどアイアンはダメ」とか、「アイアンはいいけどドライバーがイマイチ」といった、調子の波が出にくくなります。それが、このオーガスタでも戦えた大きな要因でしょう。
「ゆっくり上げて、インパクトで一気にパワーを爆発させる」。
これはアマチュアのみなさんにとても参考になるスウィングです。
写真/姉﨑正