フェースローテーションを抑え、体の回転で振る“現代的”スウィングへ
4月7日付で発表された最新のワールドランキングで、ダスティン・ジョンソンから1位の座を奪い返したジャスティン・ローズ。今年1月1日から、本間ゴルフと用具使用契約を締結。1月末のPGAツアー「ファーマーズインシュランスオープン」でいきなり優勝を飾り、“第5のメジャー”と呼ばれる、先の「ザ・プレイヤーズ選手権」でも、優勝したロリー・マキロイと4打差の8位タイに入るなど、好調を維持した状態でゴルフの祭典「マスターズ」を迎える。
彼のスウィングについて、プロコーチの内藤雄士は、「ローズはもともとクラシカルなスウィングをするタイプでしたが、昨シーズンからクラブとボールの進化に対応すべく、最新の動きを取り入れたスウィングへとシフトしていますね」(内藤、以下同)。
その違いがもっとも顕著に表れているのが、インパクトの形だという。「以前と比較すると、インパクトで胸の回旋が速く、手元がヘッドよりも先行したハンドファーストインパクトの度合いが強くなっています。
バックスウィングでクラブが完全にプレーンに乗りながら、トップから切り返しの瞬間までは胸が右を向いている。ここまでの動きは同じなのですが、以前はここから胸を右に向けたまま、下半身リードでねん転差をキープした状態でクラブをリリースしていました。
切り返しからダウンスウィングで一瞬、体(上体)を止める動きを入れることで、インパクトゾーンでヘッドを走らせ、ボールをつかまえていたのです」。それがいまは上体の回転を止めずに、腰と一緒に素早く回していくようになっているという。
「インパクトの後のフォローで、顔が目標方向を向くのが速いですよね。以前は松山英樹のように、フォローでもボールのあった場所より右側を見るぐらい、頭を残していました。スウィング中のフェースの開閉を極力抑え、かなりシャットに使うようになりました。パッと見では、そんなに大きく変わっているようには見えませんが、ローズ本人の意識としては、かなり大きな変化を感じているはずです」
メジャーに勝ち、オリンピックで金メダルもとった男のスウィング改造。その意図を、最後に内藤はこう分析する。
「フェースローテーションを抑え、体の回転を使って振るスウィングは、クラブとボールの進化にマッチしているだけでなく、体への負担も軽減できます。年齢が30代後半になってから、ワールドランキング1位に昇り詰めるなど、キャリアハイの成績を残せているのは、スウィング改造の効果が大きいといっていいのではないでしょうか」
マスターズでも、当然のことながら優勝候補の一人だ。