「自然体」でシーズンイン
思えば昨年の開幕戦、練習日に見た石川遼選手は、切り返し以降極端にクラブを寝かせるような素振りを繰り返していました。「なにか新しいことをやろうとしている」という強い意識をそこから感じましたが、今日、今年初めて見た石川選手は、昨年に比べて非常に自然体という印象でした。
大きな流れでいえば、体の回転を止めて腕のローテーションでボールをつかまえるのではなく、フェースのローテーションを抑え、体の回転で打つスウィングを目指そうという意識はあるのだとは思いますが、決して極端ではありません。
「ここを気にしている!」というそぶりは見せず、普通に素振りして、普通に打つ。それでドライバーショットはしっかりとコースの幅の中に収まり、飛距離も十分に出ていました。その姿から、ここ2年くらい続いたスウィングのモデルチェンジが、だいぶ落ち着いてきたという印象を受けました。
「スウィングは1年前より良くなっています。とくに大きく変えていることはなく、昨年末から良くなっていることを引き続きやっています。それが試合でできないといけないので、今週の千葉オープン、来週の開幕戦と様子を見ながらやっていく予定です」
練習ラウンドを終えた石川選手にスウィングについて話を聞くと、このように答えてくれました。本人も手応えを感じていることが、コメントからわかります。
面白かったのは、アームロック式パターの導入です。なんでも、昨日作って、今日の練習日に試してみたのだとか。何年か前から3番アイアンを使ってそのように振る練習もしていたらしく、普通のパターに戻したときにいい効果が得られるのだそうです。あくまでお試しとのことですが、もしかしたら明日の実戦投入もあるかもしれません。
かたくなに変化を拒むのではなく、無理やり変えるのでもない。2019年の石川遼の印象は、一言でいえば「自然体」といったところでしょうか。
「あとは試合の中で、結果を求めていきます」とこれまた自然体で語ってくれた石川選手。“手段”ではなく、成績という“結果”を求める姿勢は素晴らしいと思います。今週の千葉オープン、そして来週の男子ツアー開幕戦が、ますます楽しみになってきました。
写真/有原裕晶