タイトリストの「ボーケイ フォージド」が日本仕様の人気ウェッジだが、その最新モデルでは40グラム台と超軽量のカーボンシャフトが選べる。単品ウェッジ=重ためスチールシャフトというイメージがあるが、その振り心地はいかなるものか。プロゴルファー・中村修とノリーこと堀口宜篤のギア好きプロ二人がテストした。

操作性の高い「Mグラインド」とシンプルに打てる「Kグラインド」

ウェッジの巨匠ボブ・ボーケイ氏が送り出す「ボーケイ フォージド」の2019年モデルは、軽量シャフトアイアンを使用するゴルファーが多い日本の傾向に合わせて設計されたウェッジ。定番のスチールシャフト、NS950GHに加え、40、50、60グラム台の3種のカーボンシャフトを選ぶことができる。

アイアンセットの純正カーボンシャフトと合わせたときに、違和感なく振れるセッティングになっているというわけ。単品ウェッジというとスチールシャフト、あるいはカーボンでも重ためという印象があるが、たしかに絶妙なニッチ狙いという感じがする。早速、試打コメントを見てみよう。

画像: タイトリスト「ボーケイ フォージド」5610M(ロフト56度、バウンス10度、Mグラインド)。操作性の高いモデルとなっている

タイトリスト「ボーケイ フォージド」5610M(ロフト56度、バウンス10度、Mグラインド)。操作性の高いモデルとなっている

見た目に関しては「少し小ぶりでグースネック気味、ネックからフェース面への流れも美しく、違和感なく構えられますね」と中村。さらにソールに目をやると、リーディングエッジからバウンスにかけての部分を削ぎ落とすことで刺さりにくくなるような工夫も施されていることがわかる。

まずはスチールシャフトから。ロフト56度、バウンス10度で、Mグラインドのものを堀口がテスト。

画像: 日本向けのボーケイフォージド(左)とグローバルモデルのSM7(右)を比較するとグースの度合いや大きさの違いがわかりやすい

日本向けのボーケイフォージド(左)とグローバルモデルのSM7(右)を比較するとグースの度合いや大きさの違いがわかりやすい

「(グローバルモデルの)SM7と比べるとめっちゃコンパクトですね。構えた時っときにトウ側が浮かない感じがして構えやすいです」(堀口)

堀口が打つと、キャリー83ヤード、トータル86ヤード。打ち出し角29.5度で、ヘッドスピード31.8m/sに対しボール初速は32.5m/s、スピン量は6876rpmという結果に。堀口がとくに評価したのは打感の柔らかさだ。

画像: 今回はボーケイ フォージドを試打

今回はボーケイ フォージドを試打

「抜けがよく、引っかかる感じがありません。打感は柔らかくて、フェースに乗ってる感じがすごくします。1球打っただけでボールの跡がフェースについちゃうくらいですよ。スピンも効いてますね」(堀口)

スチールシャフトに関しては、ワイドソールでやさしい印象のKグラインドも試した。ロフトは56度で変わらず、バウンス角は12度。

「滑ってくれますね。このバウンス形状を見ると、スウィング的にも滑らせるように打ちたいなっていう感じがあります。バンカーだったら断然Kグラインドのほうがボールの下に入っていきやすいと思いますね。軽く開いただけで十分なので」(堀口)

画像: タイトリスト「ボーケイ フォージド」5612K(ロフト56度、バウンス12度、Kグラインド)。Kグラインドはオートマチックに打っていけるモデル

タイトリスト「ボーケイ フォージド」5612K(ロフト56度、バウンス12度、Kグラインド)。Kグラインドはオートマチックに打っていけるモデル

キャリー86ヤード、トータル88ヤード。打ち出し角は33.8度。ヘッドスピード32.0m/sに対しボール初速は33.7m/s。スピン量は7061rpmという結果に。

「いろんなシチュエーションに技を駆使して対応していきたいならMグラインド。対して、シンプルに打っていきたいならKグラインドのほうが楽ですね」(堀口)

画像: 堀口のボーケイフォージド(スチールシャフト)試打結果

堀口のボーケイフォージド(スチールシャフト)試打結果

中村「カーボンシャフト×ウェッジはアリ!」

では、同じロフト56度、バウンス12度でKグラインドのボーケイフォージドにカーボンシャフトを挿してみると、球筋や打感はどう変化するのだろうか。

画像: ウェッジ専用に作られたカーボンシャフト、三菱ケミカルの「ディアマナ VF60」(ワンフレックス)。重量63グラムで中調子となっている

ウェッジ専用に作られたカーボンシャフト、三菱ケミカルの「ディアマナ VF60」(ワンフレックス)。重量63グラムで中調子となっている

素振りしただけでも「全然軽い」という堀口。実際に打ってみると、キャリー76ヤード、トータル83ヤード。打ち出し角は30.4度。ヘッドスピード29.4m/sに対しボール初速は30.7m/s。スピン量は6620rpm。

試打結果を見ると性能は同等といえるが、それ以外の部分でも「軽いこと自体がメリット」だと堀口はいう。

「重いクラブの利点って、重量があるぶんオートマチックに打てるところじゃないですか。カーボンだと全体の重量が軽いので、自分で色々と技を使えそうです。もちろんカーボンアイアンを使っているならそのままの流れで打てます」(堀口)

続けて、中村もカーボンシャフトを装着モデルを試打。キャリー52ヤード、トータル63ヤード。打ち出し角は27.7度。ヘッドスピード25.5度に対しボール初速は24.4m/s。スピン量は5538rpmという結果に。見たところ、軽いからスピンがかからない、といったことはなさそうだ。

画像: ボーケイフォージド(カーボンシャフト)の試打結果(上:堀口 下:中村)

ボーケイフォージド(カーボンシャフト)の試打結果(上:堀口 下:中村)

ボーケイ200シリーズ(1998年発売)からボーケイウェッジを使用してきた、いわば“ボーケイ育ち”な中村も、実際に打ってみて「カーボンシャフトとの組み合わせはアリです」という。

「今までウェッジは重いほうが良いと言われたりもしましたけど、ドライバーやアイアンなど全体的にクラブが軽くなっている昨今ではウェッジだけが重くなりすぎちゃってると思うんですよ。カーボンシャフトとはいえ、決してグニャグニャではないのもいいですね」(中村)

アイアンのシャフトが純正カーボンで50グラム台なのに、ウェッジだけ90グラムや100グラム台、下手するとそれより重いスチールシャフトというのはセッティング的には疑問符がつく。セットアイアンではなく、単品ウェッジで軽めのカーボンシャフトが選べるのはゴルファーにとって選択肢が広がる。

中村のコメントにあるように、昨今では軽量でもしっかりと芯のある、頼りなさを感じないシャフトが出てきたことも追い風になっている。

もちろんボーケイフォージドでなければならない、ということはないが、ボーケイフォージドの場合軽量シャフトを装着してもバランスが出るように調整されているのがメリット。

その他の軽量カーボンが選べる単品ウェッジであるフォーティーンのDJ-33や、クリーブランドのRTX F-FORGED Ⅱなどの並び、軽量アイアンシャフトがお気に入りのゴルファーが単品ウェッジを選ぶ場合の有力な選択肢のひとつにできるクラブだ。

協力/PGST

画像: NEWボーケイフォージドを徹底試打!カーボンシャフト×ウェッジはアリ? ナシ? www.youtube.com

NEWボーケイフォージドを徹底試打!カーボンシャフト×ウェッジはアリ? ナシ?

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