平成の終わりに300ccを切るヘッドサイズが登場したのは何故か
ヘッド体積が200cc台というと、もはや「昭和のドライバー」という印象を受けるが、間もなく平成が終わり、令和を迎える2019年の今、テーラーメイドから275ccのドライバーが発表された。
その名は「オリジナルワン」。ソールには小さく「ピッツバーグ パーシモン」との刻印も見える。ピッツバーグパーシモンとは、1979年に創業されたテーラーメイド社が世に送り出したメタルウッドの先駆け。オリジナルワンとは、その流れで発売されたロフト12度のドライバーの名称だ。
その、いわば創業期のラインナップを冠したモデルを今世に問うのは何故なのか。ギアに詳しいゴルフライターの児山和弘は言う。
「ゴルファーの中には、460cc級の大型ヘッドがどうしても打ちにくいという人が常に一定数います。実際、近年でもテーラーメイドから260ccの『SLDR S ミニドライバー』、キャロウェイからは235ccの『バーサミニ1.5』といったクラブが発売されています。その流れにあるクラブと言えるでしょう」(児山)
パーシモンや初期メタルウッドでゴルフを覚え、フェースを開閉させながらやや鋭角にボールをとらえるスウィングのゴルファーにとって、フェースが開閉しにくく、また、開閉を抑えたほうがより性能を発揮させやすい460ccクラスのドライバーは打ちにくいという話はよく聞く。宮里優作が昨年ブリヂストン特注の260ccのドライバーを実戦投入したのも記憶に新しいところだ。
「275ccのヘッドなら、20年前のヘッドを使っても同じじゃないかと思われるかもしれませんが、オリジナルワンを見ると、曲がりを抑えるツイストフェースが搭載され、カーボンクラウンで低重心化が図られ、ネックには“カチャカチャ”もついています。昔と同じサイズでも現代のテクノロジーを使っているのが特徴のティショットギアと言えると思います」(児山)
気になるのは460ccと280ccで飛距離はどれくらい異なるかだが、275ccのヘッドであればその分だけシャフトも短くする必要があり、飛距離においても、曲がりの少なさにもおいても460ccに基本的には軍配が上がる。ほとんどのプロが460ccのヘッドを使用しているのが、その端的な証拠だと児山は分析する。
だからこそ「それでも小さくなきゃダメなんだ!」というゴルファーには強烈にハマりそうなクラブ。もし日本で発売されたら、一部のゴルファーが歓喜する!?