1年で8種類のドライバーを投入
昨年、3メーカー、5種類のドライバーを使用した松山英樹。今季もすでに3モデルを使用している。トッププロが、わずか一年で8種類ものドライバーを試合で使用したのだ。こんな例は今までなかっただろう。
今季は年初にキャロウェイの「エピックフラッシュ」を使用していた。上級者に使用者が多い「エピックフラッシュ サブゼロ」ではなく、通常モデルを使っているのが目を引いた。
かつて、非常につかまりの良い「グレートビッグバーサ」で、世界ランキング2位にまでなった松山だけに、いわゆるプロモデルよりも少しボールをつかまえてくれるヘッドを選んだものと思われる。「エピックフラッシュ」を使用した試合は、平均ドライバー飛距離が310ヤードを超えることもあり、飛距離面では優位性があったようだ。
その後、3月のアーノルドパーマー招待の初日と二日目には、「エピックフラッシュ サブゼロ」を使用したものの、三日目からは通常モデルに戻してしまった。
「エピックフラッシュ サブゼロ」は、国内女子ツアーでも非常に人気の高いモデルで、ソールに装着されたウェイトを外して使う選手が多いことでも話題になっている。無論、それは女子選手の話で、松山はウェイトを装着したままの使用だ。
プレーヤーズ選手権からは、テーラーメイドの「M5」を使用し、現在も使用中だ。実はシーズン初めの練習日でも「M5」を使っているのが目撃されており、満を持して投入した感もある。
タイガー・ウッズをはじめとする多くのトップ選手が使う「M5」は、最新ドライバーの中では操作性もあり、ハードヒッターには扱いやすいのではないだろうか。一方、ボールのつかまりという点では、キャロウェイの2モデルのほうが勝るだろう。
そのためだろうか、ウェルズファーゴ選手権からは、シャフトが変わっているようだ。現時点で詳細はわからないもののグラファイトデザインの「TOUR AD GP」のカラーリングだ。
良く知られているように、松山が長年愛用するドライバーシャフトは、グラファイトデザインの「TOUR AD DI」の80g台TXフレックスだ。「DI」は先端部の剛性が高いモデルで、これだけ重く、そして硬いシャフトを使っているのは、強者揃いのPGAツアーの中もかなりの少数派だ。松山はこのシャフトがタイミングを取りやすいようで、ヘッドが変わってもほぼ一貫して愛用している。
ヘッドにつかまりを求めがちなのも、このハードなシャフトが一つの要因になっているだろう。つかまりにくいシャフトを愛用している分、ヘッドでそれを補っているというわけだ。
『M5』に関して言えば、それほどつかまりがいいヘッドではないので、松山はシャフトを変更することでつかまりを補っているのではないかと推測できる。ひょっとすると、他のPGAツアー選手並みにスペックダウンしている可能性もある。
今季の松山のドライビングディスタンスは、306.1ヤードでツアー19位と、昨年(49位)よりもかなり向上している。飛距離に関して言えば、ドライバー変更の成果は出ているといっていいだろう。アイアンショットは好調で、信頼できるドライバーが決まれば、残りの試合で好成績も期待できるだろう。