1打差まで追いつめたが……
ニューヨークのギャラリーはケプカよりジョンソン贔屓が多いようだ。あまりの強さにヤジやブーイングを浴びたケプカに対し「DJ!」「DJ!」の大合唱がベスページブラックにこだまする。その歓声に193センチの大男が応えてみせた。
サンデーバック9で4連続ボギーを叩いたケプカに対し15番でバーディを奪い一時1打差までジョンソンが迫ったときにはメジャー史上初7打差の大逆転劇が頭を過ぎった。しかし……最後は力尽き2打差の単独2位にとどまった。
「前半うまく波に乗れればブルックス(・ケプカ)にプレッシャーをかかられると思った。実際3つ伸ばしていい感じだと思ったけれど、16番で最高のショットをつなげたのに風のいたずらかグリーンを大きくオーバーしてしまった。なぜナイスショットがあんなことになったのか理解できないよ。アゲンストだったはずなのにね。あのボギーが痛かった」と敗因を挙げたジョンソン。
「ブルックスの(スコアの)ことは意識していなかった」といいながら1打差まで詰め寄った直後のボギーだけに落胆は大きかった。
それでも「今週はショットも良かったしグリーン周りのプレーも良かった。あと少しパットが決まっていれば……。これからのメジャーでもこの調子でいけば結果はついてくる」と自信をのぞかせた。
普段から一緒にトレーニングに励みバカンスもともに過ごすほど仲の良いケプカの全米プロ連覇、メジャー4勝目の快挙。
「ブルックスは素晴らしいプレーヤー。よく一緒にプレーするし親友のひとり。彼の優勝は自分のことのようにうれしい。でも仲は良くてもゴルフに関してはいつも警戒が必要な相手だよ」
では世界最高のプレーヤーは誰だと思う? と記者に水を向けられるとジョンソンは不敵な笑みを浮かべた。
「世界ランク1位(ケプカの優勝で2位に後退)だし、そりゃオレでしょ!」
ジャック・ニクラスにアーノルド・パーマーが、タイガー・ウッズにフィル・ミケルソンがいたようにその時代のライバルが伝説を紡いでいく。これはまさに“ジョンソン&ケプカ時代”の到来を告げる一戦だったのかもしれない。
撮影/姉崎正