「低重心(lower center of gravity)」というのは、現代のゴルフクラブ、特にドライバーに関しては、「標準装備の」スペックとなってきている。
なぜ、低重心のドライバーが「飛ぶ」とされているのか。これは、ひとつには、多くのアマチュアの打点位置とフェース上のスウィートスポットの位置が近づくということがあげられる。
ドライバーの場合、ハンディキャップの多いゴルファーほど、フェースの下側に打点を外しやすいことが知られている。スウィートスポットより下でボールをヒットすると、インパクトの衝撃でフェースが下を向く(ロフトが立つ)ことから、ボールが上がりづらくなり、十分なキャリーを得られにくい。
重心の高いドライバーより、重心の低いドライバーのほうが、同じ「下っ面」に打点を外したとしても、スウィートスポットとの距離が短くなるので、飛距離のロスが少なくなるというわけだ。
また、逆にスウィートスポットより上の打点で打つと、スピン量が減って飛距離が伸びる効果が期待できるが、重心が低いドライバーほどこの「飛ぶ打点」で打ちやすい(当たりやすい)。これも「低重心が飛ぶ」という根拠になっている。
ちなみに、どんなに低重心のドライバーでも、フェースの高さの半分より下にスウィートスポットがあるということは、構造上ほぼありえない。というのは、フェース上のスウィートスポット位置というのは、ヘッド内部の重心位置からフェース面に対して垂直な線のフェースとの交点であるからだ。
もしロフトが0度なら、「重心の高さ=フェース上のスウィートスポットの高さ」という関係が成り立つが、ドライバーには10度前後のロフトがある関係上、スウィートスポットがヘッドの重心位置より上になってしまうのは避けられないのである。
(ゴルフダイジェストTVより)