ケプカがナイキと複数年のクラブ契約を結んでわずか8か月、同社はゴルフ用品から撤退を表明した。2016年の夏のことである。アパレル契約は継続したがゴルフ界に激震が走ったのはご存知の通り。
契約プロたちはその後テーラーメイド(タイガー・ウッズ、ローリー・マキロイ)やピン(トニー・フィナウ)、キャロウェイ(フランチェスコ・モリナリ)とそれぞれ用具契約を結んでいる。
しかしケプカは違った。「彼はレアケース。PGAツアーの選手たちは自分がクラブを使用することで何らかの報酬を得るのが当たり前と考えている。でもケプカは高額な契約金には見向きもしない。自分が使いたいクラブを使ってそれで稼げばいいと考える珍しいタイプ」と関係者は口を揃える。
ちなみに現在彼のバッグに入っているのはテーラーメイドM5ドライバー、M2フェアウェイウッド。アイアンはナイキのウェイパー フライプロとミズノのJPX919。ウェッジがボーケイのSM7ウェッジ、パターはスコッティキャメロン ニューポート2、ボールはタイトリスト プロV1xだ。
マキロイはナイキとテーラーメイド2社で10年間2億ドルおよそ220億円の契約を結んでおり、現在の総資産は200億円。「イングランドでもっともリッチな若手(30歳以下)アスリート」ナンバー1に2年連続で輝いている。
この数字を賞金だけで達成するのは無理。成績によるインセンティブ(報奨金)も発生するためプロにとって用具契約は大きな収入源である。タイガーは全盛期、賞金を10億円稼ぐとその10倍近くをスポンサー契約で稼ぐといわれてきた。
ナイキと契約した15年はケプカがウェイストマネジメントフェニックスオープンでツアー初優勝を挙げたばかり。契約金は年間3000万円から5000万円と推測されている。
だが状況は激変。誰も予想していなかった2年でメジャー4勝を挙げたいまその評価はどれほどのものなのか? 用具契約事情に詳しい関係者は「実際オファーが殺到しているようですが、年間300万ドルから700万ドル(3億3千万円から7億7千万円)の間ではないかと思われます」。さらにタイガーのようにキャディバッグだけ別契約にすればさらに数百万ドル(2億から3億円)が入ることになるという。
2年間でケプカが稼いだ賞金は1800万ドル(約20億円)。ガールフレンドはロバート・デニーロやモーガン・フリーマンと共演経験のある女優兼モデル、ジェナさん。公私ともに充実しているケプカは高額なクラブ契約によって本業が低迷するより好きなクラブ使い続ける道を歩む?