ロングアイアンを打つにはヘッドスピードが必須
昔はロングアイアンといえば、3Iや4Iのことを指したが、いまはアイアンのストロングロフト化が進み、アスリート系モデルでもセットは5Iから、アベレージモデルだと6Iからというのが一般的だ。キャディバッグには入っているものの、いまどきのロングアイアンである5Iや6Iが上手く打てず、飾り物になっているゴルファーも多いだろう。
「ロングアイアンを打ちこなすのが難しい理由のひとつはボールの進化ですね。クラブだけでなく、ボールも低スピン設計になってきたことで、番手なりの飛距離を出すための高さを出しにくくなっているんです。加えて、いまどきの5Iは以前の3Iや4Iぐらいロフトが立っているので、余計にボールを上げるのが難しいんです」(原田、以下同)
使わない5Iや6Iはバッグから抜いて、やさしいショートウッドやUTを入れるという選択肢もあるが、ロングアイアンも打ちこなせるようになりたいと願うゴルファーも多いはず。
「ロフトの立ったクラブで、番手なりの高さが出せるバックスピンをかけるには、やっぱりある程度のヘッドスピード(以下、HS)が必要になります。7Iぐらいまでなら、ロフトで打ち出しの高さを確保できますが、5Iや6Iになってくると、HSの速さでボールにスピンをかけていかないと、番手なりの距離を出すための高さが出せないんです」
では、どうすれば、効率よくHSをアップさせることができるのだろう。そのポイントはスウィング中のどこでヘッドを加速させるかだと、原田プロはいう。
「そのタイミングはズバリ、切り返しからダウンスウィングに入る瞬間です。バックスウィングからトップに向かって上がっていった重心が、力の向きを変えて下がっていく瞬間が、もっともクラブを振るスピードを加速させるチャンスなんです。この一瞬に腕を振ることで、HSを効率よくアップさせることができます」
多くのアマチュアはこの“ゴールデンタイム”を逃して、腕の振りが遅れてしまうため、ヘッドを加速できないという。
「この感覚をつかむ練習法としては、右足のかかとを上げずにべた足にしたまま、体の正面でクラブを振るといいでしょう。韓国出身の選手には、べた足でスウィングする人が多いですが、右足で地面を踏み込むことによる、地面反力を上手に利用して、ヘッドを加速させているんです。
切り返しからダウンの一瞬にヘッドを走らせるというと、手首を回すイメージを持つかもしれませんが、実際には腕を上下に動かしているだけなんです。地面から跳ね返ってくる力を利用して、手元側のグリップを引き上げれば、反対側のヘッドは下に向かって加速し、自然と回転するんです」
最近は体を素早く回転させて飛ばすスウィング理論が欧米では主流で、このような体をねじらずにヘッドを走らせる打ち方は時代に逆行しているように感じるが、原田はこう語る。
「最新の欧米流スウィングでHSを出すには体のパワーが必要で、欧米人に比べて体格的に劣る日本人のアマチュアには難しいんです。特に、ある程度のHSが必要なロングアインを打ちこなすには、べた足で体を横ではなく、縦に使うようなイメージを持ったほうが、効率よくHSをアップさせることができるでしょう」
5番アイアンのスピンの効いた弾道でグリーンに止める。その感覚を手に入れよう!
協力/富里インターゴルフ練習場