スクェアグリップで握る場合のお手本のようなスウィング
優勝争いの中でも喜怒哀楽を表さず淡々とプレーし、パッティングが非常に安定している印象の新垣比菜選手。スタッツを見てみるとパーオン率は66.031%(44位)、飛距離237.42Y(40位)と賞金ランク13位と好成績のわりには低めですが、パーオンホールのパッティングは1.7880で4位、3パット率も4位とパッティングが非常に安定していることがわかります。
そしてパーオン率が44位とそれほど高くはないのに1Rの平均バーディ数は3.1429個の16位と、チャンスを逃さずにバーディパットを決めているということが言えます。昨シーズンと比べるとパッティングの数値はほぼ同じような傾向で、ショットを見るとパーオン率は横ばいですがフェアウェイキープ率は63位から向上しています。早速そのスウィングを見てみましょう。
新垣選手のグリップはスクェア。同じようにスクェアグリップで握る人には非常にお手本になるので、左腕の使い方をじっくり見てみましょう。まずはテークバックからトップの写真(画像1)。このとき、左手首を甲側に折らないということがポイントになります。
スクェアグリップはナチュラルにフェースを開閉するのが特徴ですが、甲側に左手首が折れるとフェースが開きすぎ、スウィング全体でフェースの開閉が大きくなりすぎ、コントロールが難しくなってしまいます。
そしてトップからの切り返し以降の左腕を見ると(画像2)、回外という体の外側に向けて前腕を回す動作が入っています。フェースをインパクトでスクェアに戻そうとする動きですね。そうすることで切り返しではアゴに近かった左肩がダウンスウィングでは離れ、手元が低く下りてくるんです。
ストロング(フック)グリップで握る人がこの回外の動きを使うとフェースが閉じすぎて、フックしてしまいます。スクェアグリップの人ならではの動きと言えます。
インパクトからフォローの画像(画像3)を見ると左わきが締まり、腕の回外とともにフェースがしっかりと返っていることが見てとれます。この動きこそがフェースをスクェアに戻し、ボールをつかまえる重要な動作になります。
ダウンスウィングで右サイドの力が強く、トップから打ちにいってカット軌道が強い人は左腕の使い方を意識してみると、きっとクラブ軌道の修正に役立つはずです。
4月の「フジサンケイレディス」の練習日、雨の中暗くなるまで優勝請負人の清水重憲キャディとアプローチ練習をしていたのが印象に残っていますが、その週は見事に5位でフィニッシュし着実に成果を出しています。
今シーズンは勝みなみ、渋野日向子、原英莉花、河本結選手ら黄金世代の活躍が目立ちますが、その中でも屈指の安定感を誇る新垣比菜選手は、これからも目が離せません。